本年度は、国内の企業を対象にヒアリング調査を実施するとともに、海外の動向について文献収集とヒアリグを行なった。その結果、以下の事項が明らかになった。 1 サプライヤー(売り手)とバイヤー(買い手)の関係が、伝統的には下請けや系列という概念で捉えられているが、グローバル企業では、イノベーションをともに創出するパートナーという関係への移行が見られる。特に、ICTと関わらせた製品・サービスを提供する企業にはその傾向が強い。 2 イノベーションをともに創出するパートナーという関係性を維持・構築していく上で、自社の研究開発マネジメントの重要性が高まっている。研究開発は基礎研究から製品化の近い研究まで多様であり、それぞれのステージに応じた進捗管理が実践されている。基礎研究の部分では、研究所や大学との産学連携が重要な役割を果たす。製品化の近い研究では、市場への投入のタイミングが重要なので、スケジュール管理と予算管理の重要性が高まる。 3 サプライヤーから顧客との共同研究を提案する場合は、顧客の商品化に合わせて提案をすることがある。この場合、そうした提案を行えるプラットフォームは有用であり、顧客を巻き込んだ産学連携の可能性も重要である。 4 共同研究を行う場合、研究経費については費用対効果の観点からコストマネジメントを実施する。特に、製品化に近くない研究では、研究成果あるいは製品化のリスクが高いため、共同研究経費の見える化がなされrていることが重要である。
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