2013 年度実施状況報告書

環境配慮とコスト競争力を両立させる原価企画実践の解明

研究課題

研究課題/領域番号	25380602
研究種目	基盤研究(C)
研究機関	香川大学
研究代表者	朴鏡杓香川大学, 経済学部, 准教授 (40346630)
研究期間 (年度)	2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード	原価企画 / 環境配慮設計 / 環境管理会計 / 環境経営 / コストマネジメント
研究概要	本研究の目的は、環境に配慮した製品開発において、環境配慮とコスト競争力を両立させる原価企画実践の解明にある。この研究目的の達成のために平成２５年度の研究実施計画として、環境配慮設計に関するこれまでの研究動向および原価企画活動の実態把握とそれに伴う解決すべき課題の明確化を目標とした。その具体的な内容として当初計画したのは、（１）環境配慮設計および原価企画、そのうえ環境経営、環境管理会計、環境コストマネジメントなどについての幅広い文献研究、（２）関連産業や企業に対する聞き取り調査の実施、（３）これらの文献研究と聞き取り調査に基づく質問票調査のフレームワークの構築であった。上記の研究実施計画のうち（１）文献研究は計画通りに進めている。環境配慮設計および原価企画だけでなく、環境経営、環境管理会計、環境コストマネジメントなどの研究動向について幅広いレビューを行っている。また、この文献研究に基づいて（３）質問票のフレームワークもある程度形を整えている。しかしながら、（２）聞き取り調査については当初の計画通りに行うことが出来ず、全体的に研究実施計画にやや遅れが生じている。その理由は平成２５年度における在外研究にある。多少の遅れを取ってはいるものの、平成２５年度に行った幅広い文献レビューは今後平成２６年度の研究実施のための基礎として役に立つことと思われる。次年度においては、さらなる先行研究のレビューとともに、海外滞在のため行うことが出来なかった聞き取り調査を中心として研究を続けていき、これらの文献研究と聞き取り調査に基づく質問票を完成し大量標本質問票調査を実施する予定である。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 3: やや遅れている理由当初の研究実施計画が遅れている主な理由は、平成２５年度における私費在外研究にある。２０１３年４月から２０１４年３月までニュージーランドのワイカト大学（Waikato University, Hamilton, New Zealand）で在外研究を行ったため、平成２５年度の研究実施計画のうち文献研究は当初の計画通りに進められたが、家電産業や自動車産業の企業に対する聞き取り調査は実施できなかった。
今後の研究の推進方策	平成２５年度には当初予定していた家電産業、自動車産業に対する聞き取り調査を実施することができなかったため、次年度においては調査範囲を機械・精密機器産業にまで拡大し聞き取り調査に重点的に取り組む。先行研究の文献レビューをもとに質問票調査のフレームワークはほぼ構築できており、聞き取り調査においては質問票に対するパイロットテストも同時に行う予定である。聞き取り調査にあたっては、設計・開発プロセスにおいて品質、コスト、環境配慮、納期の間でトレードオフが生じた場合の処理の仕方について、また、どのような経営資源及び能力が環境に配慮した原価企画成果に影響を及ぼしているかについても解明することを目指す。調査は、国内だけでなく、海外の工場・開発拠点においても実施する予定である。さらに、環境設計工学、環境経営及び管理会計分野で活躍している海外研究者にもインタビュー調査への協力を求め、環境に配慮した製品開発の最新の国際的な展開と連動させて研究を進める。平成２６年度には、平成２５年度に続く文献研究と今後開始する聞き取り調査に基づき質問票を完成し、大量標本質問票調査を実施する予定である。
次年度の研究費の使用計画	平成２５年度においては私費による在外研究を行ったため当初の計画通りに研究費を執行することが出来なかった（２０１３年４月から２０１４年３月までニュージーランドのワイカト大学、Waikato University, Hamilton, New Zealand）。平成25年度の研究費の未使用額は、26年度に繰り越し、図書購入及びデータの管理や処理のための設備の購入、聞き取り調査ための旅費などに執行する予定である。