本研究の目的は、環境配慮とコスト競争力を両立させる原価企画実践を解明することにあった。環境に配慮した製品が市場で競争力を持つためには、市場の価格要求から導かれる目標原価の範囲内で環境配慮を行う必要がある。そのためには環境配慮に伴うコストを目標原価の設定対象とするなど、環境目標とコスト目標を同時に達成できる原価企画活動が求められる。 これまでの主な研究成果として、第1に、環境コストに対する原価企画の実践においては環境コストを目標原価の設定対象とする企業と設定対象としない企業が存在することを明らかにしたこと、第2に、環境コストを原価企画の管理対象にすることにより、コスト低減の効果が高まるということを確認したことがあげられる。 最終年度においては、前年度に実施した郵送質問票調査テータに基づく統計的解析を計画していたが、回収率が予想より低かったため、平成28年9月に再度郵送質問票調査を実施した。その結果、112社(回収率21.54)からの回答が得られた。環境に配慮した製品開発実態の分析に必要なデータが収集でき、環境配慮とコストパフォーマンスを同時に向上させる原価企画実践を実証的に明らかにするための準備がようやく整ったといえる。現在、この調査に基づくデータの解析に取り組んでおり、平成29年度中に学会報告・論文発表の形で研究結果を発信していく予定である。
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