わが国では、のれんの事後処理について、減損アプローチの適切性が論じられることは多いが、減損が計上された場合、どのような情報が開示されているのかに関しては、あまり話題になっていない。本研究の目的は、のれんの減損損失を計上した企業の開示実態を明らかにし、定性的な面から減損に関する情報の有用性を評価することである。 東証1部上場企業で、IFRSを適用している財務諸表を分析した結果、割引率の感応度の分析といった高度な経営判断が必要な情報を開示する企業はごく少数であることが明らかとなった。このように、現時点における開示情報が十分であるとはいえず、改善の余地があるといわざるをえない。
|