本研究は、EUにおける国際財務報告基準(IFRS)のアドプション後の制度内調整に伴う諸問題を、中小企業版IFRSへの対応および国際監査基準(ISA)への対応を対象として分析するものであり、本研究の意義・重要性は日本へのIFRSの強制適用に伴う政策的含意を得るという点にある。本研究を通じて、強制適用の範囲を限定し、複数の会計基準・会計処理方法の選択権を制度レベルで与え、企業レベルで弾力的に対応できる措置を制度に組み込んでおくことが、IFRS適用への適応に際しても有効であるということが明らかになった。
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