研究課題/領域番号 |
25380612
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 麗澤大学, 経済学部, 准教授 (00535536)
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研究分担者 |
上村 昌司 麗澤大学, 経済学部, 教授 (50323902)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 粉飾決算 / 不正会計 / ゲーム理論 / ケーススタディ / 利益調整 |
研究実績の概要 |
研究期間3年目となった前年度は,粉飾決算のケースを1本,『企業倫理と社会の持続可能性』という著書に収容することができた.また,エジプトとマレーシアの国際会議において海外発表を2度,国内でも日本会計研究学会で発表を行い,研究成果に対する研究者の反応を確かめることができた.そうした作業により,多くの研究者の意見を参考に研究を発展させ,これまでの結論をより進化させ,状況によって結果が変化しうることを計算で確かめることができた. 具体的には,従来は,おおざっぱにいえば,より良い企業が粉飾するという結果であったが,コストの設定を変化させることで,いわゆる分離均衡のみならず,プーリング均衡が出現することを確かめた.これは,実際のケースにおいても重要な示唆があり,粉飾決算を行った企業に対するペナルティーを軽くすると,社会的にはプーリング均衡が生じうることを示している.すなわち,よい企業も悪い企業も同じシグナルを財務諸表によって発することになり,市場はそれを区別できないということになるわけである.こうした状況は,市場の資源配分をゆがめることになり,社会的な最適化を行うことができなくなる.本研究では,こうした結論を導きだすことができた. 4年目となる本年度は,1年間の延長をさせていただいたことを生かし,今年度中に論文としてまとめ,海外を中心に提出していきたいと考えている.おおよそ,夏をめどに脱稿して,早ければ冬までには搭載を確定させたい.なお,本研究に付随したケースについても,3年目に1本作成したが,本年度中に2本程度は公表できるようにしたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
そもそも,1年間の延長をさせていただいたことから全体としては遅れているといえるが,延長させていただいたことで,なんとか結論を進化させ,本年度中にペーパーとして完成させることができそうである.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,夏にもう一度,海外の発表を予定しているが,それ以外は,論文の完成に集中する予定である.具体的には,これまでのサーベイをもう一度確認し,論旨を整理したうえで,海外のジャーナルに投稿する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間の2年間は共同研究者ともども学内の役職についたことから,従来,3年間で完結させる予定であった研究計画が遅延し,4年となったことが主たる原因である.最終的な論文の脱稿と学会発表の遅れが具体的な要因である.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度において,最終的な論文の脱稿と学会発表を行うために使用する.これによって,年度内に予算を消化するとともに,研究についても一定の目途をつかせる予定である.
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