最終年度では,これまでの研究活動を総括するとともに,サーベイを強化した.その過程で,実際のケースからの知見をえるために東芝のケースを掘り下げ,国際会議で報告した. 具体的には,研究の結果としては,優良企業が,そうでない企業の粉飾をさせないために,みずから粉飾するという結論を得ていたが,そうした結論をえる前提を変更することで,優良企業は粉飾せず,そうでない企業が粉飾する状況を確認することができた.すなわち,それぞれの意思決定の前提を明らかにすることができた.こうした知見は他の先行研究では見られないもので,本来であれば,これを論文としてまとめ,パブリッシュしていなければならないはずであるが,論理や計算は終了しているものの,論文の脱稿までには至っていない.なお,本研究のサーベイそれ自体もサーベイ研究として公表すべく作成しているが,これも脱稿には至っていない. 他方,モデルを設定を検討するために種々のケースを扱ったが,そのひとつとなる東芝のケースについては,日本会計研究学会第75回大会静岡地区自由論題「不正会計と会計基準」 共著 (2016年)として発表し,その後,修正をしたうえで,Cairo University International Conference on Business Sciences (2017)で採択され, Accounting Fraud And Accounting Standards: The Case Of Toshiba’s Fraudulent Accountingとして公表した. 今後の予定としては,サーベイ論文を脱稿した段階で,その要約を本研究の論文の一部として登載して,投稿するつもりである.また,東芝のケースについても実際の東芝の動向が落ち着いた段階でケースをまとめ上げ,海外に発表する予定である.
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