研究課題/領域番号 |
25380613
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
小倉 昇 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (10145352)
|
研究分担者 |
久持 英司 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 准教授 (00308173)
馮 玲 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40339114)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 会計学 / 情報開示 / 資本市場 / 予想情報精度 / 業績予想誤差 / 情報有用性 |
研究概要 |
平成25年度には、研究代表者と研究分担者が研究課題の基礎となる3つの研究テーマ、(a)資本市場による情報評価に関する研究、(b)会計制度の変化からの影響に関する研究、(c)情報の頑健性の検討に関する研究、を分担して進めた。 (a)のテーマについては、先行研究のサーベイを中心に研究を進め、おおむね主要な研究論文の評価と体系化を終えることができた。特に、2005年以降は、業績予想情報の有用性に関する研究から、業績予想誤差の原因に関する研究および予想誤差が与える影響についての研究に論文の関心がシフトしていることを検出した。(b)のテーマについては、業績予測情報の年度別特性の分析と産業間特性の分析を並行して進め、基礎的な分析データをそろえることができた。これらのデータは、2年目の研究の重要な基礎になると期待している。また、(c)のテーマについては、業績予想情報の精度に関する年度別のクロスセクション分析を行い、業績予想情報の精度はビジネス環境の変化に影響を受けやすいものの業績予想情報の精度の低下と有用性の間には優位な因果関係が観察できないことを検証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には、(a)資本市場による情報評価に関する研究、(b)会計制度の変化からの影響に関する研究、(c)情報の頑健性の検討に関する研究、という3つの研究テーマに分担して取り組んだ。先行研究サーベイを中心とした(a)の研究は、ほぼ予定通りの論文の評価と、論文間の関係付けを終えることができた。これらの先行研究サーベイを通じて、業績予想誤差の変動が情報利用者に与える影響という問題が、先行研究では十分に検討されていない点など、今後の研究の方向性を与えるファインディングを得ることができた。 (b)の研究は、業績予測情報の年度別特性の分析と産業間特性の分析を通じて行ったが、業績予想情報の記述統計的な特性を把握することができたものの、年度別特性や産業間特性を説明する変数の抽出までは分析を進めることができなかった。そうした点では、このテーマについての研究はやや遅れ気味であるといえる。 (c)の研究については、業績予想誤差と業績予想の情報有用性の関係について統計的に興味深い関係を抽出することができた。この成果については、2013年12月に開かれた国際会議で研究報告を行い、一定の成果を発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
第2年度である平成26年の課題は、3つの視点ごとに進められた初年度の研究成果をベースに、複数の視点を接合して研究課題の達成を目指すことにある。特に、初年度にやや分析の遅れがあった量的な因果関係分析に力を入れて研究を進めたい。 まず、初年度の(a)と(b)の成果に基づき、会計制度の変更と資本市場による情報の有用性評価の変動の因果関係を検証する研究をおこなう。特に、日本の会計制度に四半期決算が定着したことが業績予想の情報有用性に与えた影響を検出・測定することをテーマとする。特に、会計制度の違いによる情報モメンタムの存在を仮定して、情報の有用性と頑健性(信頼性)の関係を検証する。 また、このような情報モメンタムを通じて業績予想誤差の変動が業績予想情報の有用性や頑健性に影響を及ぼすとの仮説を検証する。初年度の研究では、同一会計期間の業績予想誤差の水準と情報有用性の因果関係分析にとどまったが、期間にずれのある因果関係モデルを検証することによって、過去の業績予想誤差がその後の情報有用性に与える影響を検証することも試みたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
日本企業の自社業績予測の情報について、データベースを購入することを計画していたが、大学のオンライン検索システムでもある程度のデータを入手可能であることが判明したため、初年度の基礎的な分析はオンライン検索システムからダウンロードしたデータを用いて行った。 初年度の統計分析はオンラインで検索できるデータで十分であったが、その範囲は、2001年以後に限られること、2001年以後2005年までの四半期予測情報が含まれないことが確認できたので、これらの情報が必要になった段階で、データベースの購入を検討している。
|