研究実績の概要 |
本研究の目的はIT組織が戦略志向へ変革するために必要となる業績評価システムのあり方について探究し、グローバル企業におけるベストプラクティスを提案することにある。最終年度ということで、最終成果としてケーススタディを用いた研究成果をまとめることができた。それが「The Integration of Information Capital, Human Capital and Organization Capital in the Enterprise-wide IT Solution: Relationship between Intangibles and Performance Evaluation Systems in IT Organizations」である。同様に、日本語の論文としても「IT子会社における経営計画の実行と業績評価」という論文をまとめた。また、計画通り、海外での学会報告を行うこともできた。 これらの研究実績の意義は、研究目的にもあるグローバル企業におけるIT組織の業績評価システムのリファレンスモデルとなりうるモデルを提示したことにある。具体的には、IT組織の無形の資産(インタンジブルズ)と業績評価システムとの関係性についてのモデルを提示できた。金融機関グループのIT組織を題材としたケーススタディを行うことによって、企業グループのIT子会社に関連したインタンジブルズマネジメントの一環として経営計画を活用できることを明らかにできた。IT組織の経営計画の策定と業績測定といった組織資産の構築が、技術資産、人的資産、組織文化といった組織資産への影響を想定できることを明らかにできたことが最終的な成果といえる。 また、このモデルのグローバル企業での実務への適合性についてのフィールドスタディも行った。その結果として、新製品開発におけるIT活用について研究を展開できることが期待できることが分かった。
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