研究課題/領域番号 |
25380624
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
奥村 雅史 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30247241)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 修正再表示 / 財務諸表の訂正 / 利益情報の訂正 |
研究実績の概要 |
研究目的は,わが国における財務諸表の訂正の実態について調査・研究することである。本年度の研究実績は、学会等による研究成果の発表、訂正情報の収集と整理、論文作成、財務諸表の訂正に関連する最新研究成果の追加的なサーベイに分けられる。 訂正情報の公表事例を利用した株式市場における財務諸表の信頼性に関する研究成果を複数の学会およびセミナーにおいて報告した。研究者および実務家から研究方法や実務における現状などについて広く意見を収集するとともに討議を行った。 本研究の研究対象である財務諸表の訂正事例は、監査や内部統制の強化が進んできたなか減少することが期待されているが,一定程度の水準で訂正事例は継続的に生じている。本年においても、引き続き事例を収集するとともにその内容を確認し、分析上利用可能な訂正事例を収集・整理することによってデータベースを構築した。 本研究の一部である会社役員の特性と訂正との関係に関する研究は、日本独自の役員制度のもとでの訂正事象の発生を研究するものであるため、世界的にみても固有の研究結果を提供できる。これに関して、英文の論文をまとめ、これを投稿した。 さらに、財務諸表の訂正に対応する修正再表示(restatement)に関する研究は、米国で先行的に進んでいたが、現在では、広く世界各国で研究が進められるようになってきている。財務諸表の訂正は、各国の会計実務、監査実務に深く関連するため、訂正に関する国際比較は、現在進行中の会計の国際化、言い換えると、会計基準の統合に向けた動きの中で、どのように実務に浸透していくのかを検討する際に重要な研究対象になると思われる。この点に関する研究をサーベイし、次年度に向けた方向性を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
追加的な訂正事例を加えながら分析を行ったが、分析結果が十分に解釈できるものとなっていないこともあり、さらに分析を行っている。そのため、一部の論文作成が遅延した。また、データベースの構築にあたっては必要なるアルバイト人員の不足という問題があり、データベースの作成が不十分な状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
アルバイトを確保することによってこれまで遅れている作業を進めるとともに、本年度の訂正情報についてもデータベース化する。また,国際的な研究に展開させるためにこれまでの研究成果を国際学会において研究報告する予定である。また,分析方法に関して、広く検討することによって適切な手法をさらに検討し分析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
人件費の使用が遅れたことおよび論文作成の遅延によって、人件費の支出と英文校正料の支出が遅延した。
|
次年度使用額の使用計画 |
アルバイト人員を確保してデータベースの作成を進めるとともに、論文を作成し英文校正料を支出する。
|