研究課題/領域番号 |
25380626
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
江頭 幸代 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (70370020)
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研究分担者 |
山田 有人 名古屋商科大学, 商学部, 教授 (70440419)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 税務戦略 / タックス・マネジメント / 税務コスト / 実効税率 / 多国籍企業 / アップル社 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究では、UZABASE社のデータを使って、日本(3,560社)、アメリカ(5,697社)、イギリス(1,296社)、ドイツ(612社)、フランス(600社)の上場企業の公表財務諸表から、1999年度~2012年度の13年間の(会計)実効税率の実績と法定実効税率の差額を国別・時系列的に分析し、その結果、日本が他の4カ国よりも全期間を通じて全て高いことを得た。これらの研究を踏まえて、今後、日本企業がグローバル市場で競争していくためには、どのような税務戦略をとるべきかについて検討することが重要であることを痛感した。そこで、税務戦略を活発に利用しているアメリカのグローバル企業の事例研究を選定したいと考えていたが、通常、税務戦略はある意味、トップシークレット的な意味合いがあり、なかなか企業外部の人間が容易に知り得ることはできない。 ところが、今回、アップル社の税務戦略が米国議会上院報告書にて全容が明らかにされることとなった。そこで、この報告書を足掛かりとして、日本企業の学ぶべき点を検討した。まずは、米国議会上院報告書を参考に、アップル社の税務戦略について「移転価格税制とコスト・シェアリング契約」「タックス・ヘイブン税制とチェック・ザ・ボックス規則」から検討し、日本企業への適用可能について検討した。また、アップル社の採用した税務戦略そのものが、税務戦略の基本式を使って、節税額や非租税コストが説明できるかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UZABASE社のデータを使って、日本(3,560社)、アメリカ(5,697社)、イギリス(1,296社)、ドイツ(612社)、フランス(600社)の上場企業の公表財務諸表から、1999年度~2012年度の13年間の(会計)実効税率の実績と法定実効税率の差額を国別・時系列的に分析するといったマクロ分析から、税務戦略が優れている企業(アップル社)から具体的にどのような税務戦略を実施しているかについて、ミクロ的な分析を行い、テーマである日本企業としての「あるべきタックス・マネジメントの手法の確立」に歩を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
日本企業において実効税率の低い企業および高い企業を選定し、経営者の方針についてアンケートを実施する。また、有価証券報告書の注記の分析をし、どのようなスキームを実施しているかを検証する。 さらに、昨今、BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と 利益移転)について、欧米でも研究が盛んになってきたので、それらについて研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していたアンケート調査を来年度にするため。
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次年度使用額の使用計画 |
経営者へのアンケートとしての通信費およびデータを分析するための謝金が必要となる。
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