研究課題/領域番号 |
25380630
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
福重 八恵 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (10581853)
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研究分担者 |
淺田 孝幸 立命館大学, 経営学部, 教授 (10143132)
山本 眞由美 岐阜大学, 保健管理センター, 教授 (40313879)
前田 利之 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (70320041)
金 宰ウク 広島大学, 社会(科)学研究科, 講師 (50599264)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療サービス / 品質測定 |
研究実績の概要 |
現在の医療機関では、科学的根拠に基づくガイドラインにより、ほぼ一律の標準治療が行われることが少なくない。標準治療の確立により、地域や医療機関による医療品質の差は格段に小さくなった。しかし、患者の状況等は千差万別であり、ガイドラインに基づく標準治療が全ての患者に適合するものではない。他方、我が国では医療費の高騰が国家的な課題となっている。また、薬剤による副作用や医療技術・機器の進展によるブラックボックス化の中で、医師や医療に対する不信感の増大も指摘されている。 かかる状況の中、医療における諸問題を解決し、医療サービス品質の向上に貢献するものとして、患者への侵襲が少なく、全人格的な医療を目指す、代替補完医療への期待が高まっている。一方、代替補完医療の中には、現代西洋医学を完全否定するもの、超自然主義を唱えて科学的根拠のない治療法を押し付けるもの、がんビジネスと呼ばれるものが含まれていることも否定できない。 そこで最終年度は、代替補完医療に焦点を当て、終末治療等における医療サービスの質やQOLについて患者視点を取り入れながら議論を進めた。まず、代替補完医療に含まれる医療サービスを提供している医療機関など5団体に対してヒアリング調査を行った。ここでは、欧米と比較した場合の我が国における代替補完医療の研究や政府の取り組みに関する問題、医療者の地位の問題や経営上の問題が共通して指摘された。 患者側については、代替補完医療を導入している11名のがん罹患者に対してロングインタビューを実施した。ここでは、情報の問題、家族や仕事の問題、金銭的負担の問題などが明らかとなった。同時に、従来行われてきた病院機能に対する医療提供者側の自己評価や、特定の専門家集団による第三者評価等によっては判断できない医療サービスの側面について、受益者としての実際的な視点から検討することができた。
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