研究課題/領域番号 |
25380634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中室 牧子 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (20598403)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外国籍児童に関するデータ収集 / インターネット調査 / パネル調査 / 日本における移民政策 |
研究概要 |
本研究は、日本の移民研究の中で十分行われてこなかった日本人と外国人の接点である「コンタクトゾーン」に関する分析を行う。外国人のモニターを多く持つ調査会社を経由して、「子ども調査」の対象者―6歳から15歳の学齢期の子どもをもつ700世帯―から、外国籍の子どもらとその親を対象にして、日本の学校に通う学齢期の外国人子弟に関するデータを収集した。当該データを用いて、分析を開始した。大人の労働移動に関する分析結果は、8月に米国のNY市で行われた米国社会学会で報告を行い、移民研究を専門とする研究者から多くのコメントを得ることができた。そのコメントを反映したうえで、同論文は、International Migration Reviewに投稿し、2度のRevisionを得て現在審査を待っている状態である。 また、厚生労働省が収集している「21世紀出生児縦断調査」(全国の2001年に出生したすべての子を対象としたパネルデータ)には外国人の子供が含まれている。この統計には、子どもの学校あるいは放課後の過ごし方や、保護者の学校とのかかわり、保護者の社会経済的な地位などについて詳しく尋ねていることから、この個票データを用いた分析をすすめ、日本人と外国人世帯の社会移動形態や学校へのかかわり方の違いを明らかにする。当該の分析については、現在実施している最中であるが、2014年7月下旬の内閣府経済社会研究所におけるディスカッションペーパー検討会にて発表することが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進捗している。インターネット調査のデータを用いて、最初に執筆した論文は、移民研究の国際雑誌としてはインパクトファクターの高い国際誌に投稿し、EditorからはAcceptanceが近いという評価を得ている。パネルデータを用いた研究は、データ申請作業に時間がかかったこともあって、若干遅れているが、すでにディスカッションペーパーとして発表が可能な程度にはまとまっている。
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今後の研究の推進方策 |
21世紀出生児縦断調査のデータについては、当初考えていた以上に様々な情報が含まれているため、単一の研究にとどまらず、研究のスコープを広げていくことが可能になる。一方で、インターネット調査は、各質問項目の平均値がこれまでの質的調査の結果に合わないような部分もあり、慎重な検討が必要とされる。
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次年度の研究費の使用計画 |
インターネット調査の費用が予想よりも安価であったこと。このため、研究計画を修正し、タブレットなどを使用して、外国人集住地域でのインタビュー調査によるサンプルの回収を実施し、首都圏以外でのサンプルの収集を行う。 上記での述べた通り、タブレットなどを使用して、大規模な外国人集住地域でのインタビュー調査を実施し、インターネット調査ではカバーできなかったような地域や内容を充実させるための費用に用いる予定である。
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