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2015 年度 実施状況報告書

25年後の戦友会のフィールドワーク:戦争体験の等身大の意味づけに関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25380636
研究機関金沢大学

研究代表者

溝部 明男  金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (90127142)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード戦友会 / 戦争体験の意味づけ / 戦争の意味づけ / 戦没兵士の処遇
研究実績の概要

1. 隼鷹戦友会の会合(2005年)の全体像を俯瞰する論考を準備している。
2.中国、台湾における戦没兵士の処遇についての外国調査は、研究代表者の病気により、十分に展開できなかった。
3.戦争体験の意味づけについては、日本国内の新聞記事を収集して、分析した。2015年夏の新聞とTVの報道の中で、次の2つのタイプが目に付いた。
戦争末期に特別攻撃隊に参加した経験をもつ生存者が当時を振り返って、どうしてああいうことをしていたのか、今から考えると……と首をひねっていた。これは、戦争体験を「プラス」とも「マイナス」とも位置付けないで、当時の「状況と義務に関する一般通念」からある距離をおいた態度である。ふたつめは、アメリカ軍で当時戦っていた生存者の見方が報道されていたことである。新しい見方と感じられたのは、アメリカ側の戦争体験者が、「当時は、どちらも自分の国のために生命をかけて戦っていた。それはアメリカ側も日本側も同じ」と語ったことである。「敵‐味方」という旧来の図式をのりこえる新しい見方である。
これら2つのタイプが報道の中にあらわれたのは、戦後70年を経過して、当事者たちが自分たちの戦争体験に対して、やっとある距離を置くことができるようになりはじめたことを物語っているように思われる。
他方、戦後生まれで、戦争体験を持たない世代のもつ戦争の意味づけにも、特有のパターンが生じている。戦争はあってはならないこととしつつ、自衛のための武力の行使をある程度認めるというパターンである。しかしながら、自衛のための武力行使を実際に担うのは誰であるか、という点についての現実的かつ明確な合意はいまだに形成されていない。二つの世代が持つ戦争の意味づけの差は、時代状況、社会制度、教育などのちがいにより生じている。このような背景についての理解が進む程度に応じて、二つの世代の相互理解が可能になるのだろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、3年で研究の取りまとめを行い、終了する予定であった。しかし、研究代表者の病気により、3年目の計画が遂行できなかった。
研究期間の1年延長を申請し、4年で研究を終えることになった。

今後の研究の推進方策

研究期間を1年延長し、平成28年度で研究の取りまとめを行うことにした。
中国および台湾における、戦没兵士の処遇、日中戦争と国共内戦の意味づけに関する研究は、規模を縮小して遂行する。
従軍体験の意味づけに関して、体験者個人とその家族のレベル、国家などの集合体レベル、後継の若い世代に共有されている見方などにわけて、隼鷹戦友会における知見を中心にしつつ、比較研究の視点も交えて、研究の取りまとめを行う。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の病気のため、外国出張及び研究の成果の印刷が行えなかったため。

次年度使用額の使用計画

1.中国および台湾に出張し、小規模な現地調査を行う。そのために出張旅費を使用する。2.研究成果をとりまとめ、報告書を印刷する。(その他)これまでのフィールドワークにより蓄積した写真資料をデジタル化する。ビデオ機器などの物品を購入する。

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公開日: 2017-01-06  

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