「社会学」という学問の形成に歴史的にみて重大な意義を果たした19世紀後半から20世紀初頭の初期ドイツ社会学の包括的な思想的布置は、ウェーバー研究を除けば、今日に至るまで十分に解明されていないテーマである。本研究は、当時を代表するディルタイ、テンニース、ジンメルの3人の思想家の関係と相違に着目しつつ、そもそも社会学とはいかなる思想的課題を担ったものであったのかを明らかにしようとしたものである。とりわけ、ジンメルを中心におき、そこにディルタイとテンニースなどを絡ませる形で、研究を進めた。ドイツ社会学の思想的意味をめぐる研究の基礎を立ち上げるまでには、研究は確実に進捗したといえる。
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