調査した農協について、事業類型別にデータを整理し、組合員によるガバナンス構造を比較検討した。農協類型は、都市農協型、米農協型、産地農協型とした。どの農協類型においても正組合員のみから総代は選ばれており、特に都市農協型では、准組合員割合が最も高いが、准組合員の機関運営への参加は見られなかった。 また、基礎組織については、都市農協型で基礎組織がなくなっており、米農協型は一部地域で基礎組織がないが、おおむね集落が基礎組織、すなわち総代の選出基盤となっていた。しかし、次第に総代の選出が困難になってきており、新たな基礎組織を模索する動きも見られた。産地農協型は、かつての出荷場単位が基礎組織として機能しており、販売農協としての特徴がみられ、組合員の機関運営への参加は共販組織において機能していた。 生協については、県域を越えた合併が見られ、単位生協の事業連合との事業的一体化が進行しており、総代一人当たりの組合員数は2500人ほどとなり、先に見た農協が20人ほどであったのに比べ、組合員のマス化が進行している。かつて基礎組織であった班はすでに解体しており、代わる基礎組織としては行政単位のブロック運営が行われていた。より小規模の組合員組織としてクラブ、サークル、コープ会等が模索されており、そこからの総代選出も見られるが、基礎組織としての位置づけではなかった。また、共同購入型生協においても、個別配達化が進み班が解体しつつあったが、なかでは、福祉事業と購買事業を結合しながら組合員組織を構築する実践が現れていた。 農協、生協ともに事業規模の拡大とともに、かつての基礎組織が機能不全、もしくは解体してきており、代わる基礎組織が模索されているが、まだ模索途中にあった。事業類型別では、産地農協、特殊な共同購入型生協のなかにおいて組合員参加の実態が保持されていた。
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