研究課題/領域番号 |
25380642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
嶋根 克己 専修大学, 人間科学部, 教授 (20235633)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 葬儀 / 近代化 / ベトナム / 日本 / 社会関係資本 / 死の社会学 |
研究概要 |
今年度の研究は、ベトナム関連の現地調査ならびに文献調査に注力した。まずベトナムの近代化と葬儀の関連について、ベトナム社会科学院から専修大学を訪問する機会のあったN氏、P氏、A氏からベトナム社会の急激な近代化と社会生活の変容について専門研究員としての立場からの専門的知識の提供を受けた。 今年度は5月、9月、3月に二度訪越して、現地調査などを行った。9月にはキーソンにある新築の公園墓地やドンラム村の伝統的な生活について調査した。また3月には北部タイビン省の農村と南部チャービン省の農村にそれぞれ数日間滞在し、農民の生活変化と葬儀の変動についてのインタビュー調査などを行った。これらの調査に当たっては、ベトナム社会科学院社会学研究所のメンバーによる助力を受けながら、コミュニティーレベルでの調査が可能になった。現地での収集された事実は、映像機器とICレコーダーによって記録され、電気的に保存されている。 アウトプットとしては6月に発刊された『事典 墓の考古学』(吉川弘文堂)に「火葬と散骨」「現代における墓地の存在意義」の項目を執筆した。6月には2012年に発行された共著Invisible Population : The Place of the Dead in East Asian Megacities (ed. N. Aveline-Dubach, Lexington Books)がペーパーバック版として再版された。7月には本学社会関係資本研究研センターが開催した国際シンポジウム(8カ国から代表を招聘)において国際比較調査によって明らかになった葬儀と社会関係資本の関連について発言した。また9月にハノイで開催された本学社会科学研究所とベトナム社会科学アカデミーによる国際シンポジウムにおいて、コーディネートならびに座長を務め、研究者たちの意見交換に力を尽くした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の項目で述べたように、ベトナムでの昨年度の現地調査は合計4回一カ月余りになり順調に進行している。また現地でのラポールならびに資料収集も順調に進んでいるので、十分な成果を上げていると判断できる。しかしながら日本、特に沖縄の葬儀とその源流については、文献的な研究以外に現地調査、聞き取り調査は行えなかった。国内研研究についてはすでに研究実績があり、また短い期日での現地調査が可能であるために、今後の課題としていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度はベトナムを基点に集中的な調査を行った。研究計画にもあるように本研究の独創性のひとつはアジア地域内での比較に限定されず、他の文化地域(ヨーロッパなど)の視点を取り込みながら、視野を相対化していくことにある。今年度はベトナム、沖縄はもちろんのことであるが、ヨーロッパあるいはアメリカの研究者との意見交換と現地情報の収集も行うべく、現在計画を策定している最中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
映像記録装置(デジタルカメラ)の更新ができなかったため、残額が生じた。 映像記録装置(デジタルカメラ関連)で残額を支出する予定である。
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