研究課題/領域番号 |
25380646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
小林 大祐 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (40374871)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 雇用形態 / 正規雇用 / 非正規雇用 / 社会調査 / 社会階層 |
研究概要 |
本課題研究は、雇用の流動化とともに進行しつつある、これまでの「正規/非正規」という区別ではカヴァーしきれない従業上の地位の分化について定量的に把握し、その分化と人びとの社会経済的な属性との関連について、計量社会学的にアプローチすることを目的とするものである。特に焦点を当てるのは、既存研究では二項対立的に扱われ、そのなかの同質性が仮定されがちであった、「非正規社員」と「正社員」という雇用形態のなかの差異である。これらを計量的に捉え、それが機会の不平等とどう関連しているか検討することで、雇用の流動化についてより詳細に論じることを目的とする。 このような目的に基づき、平成26年度にインターネット法による実査を行う予定にしているが、この実査を円滑に進めるために、平成25年度は、従業上の地位の分化と、職業内容や産業や企業規模という職業の他の側面との関連についての既存研究の文献研究を、そして就業形態の多様化に焦点を当てた既存調査項目を参考にして、就業形態の分化を適切に測定できるよう調査項目の作成のための研究を進めた。 このように、平成25年度は、情報収集が主たる活動であったため、研究実績として、口頭発表や論文などの明確な形での成果は存在していない。しかし、「現在までの達成度」欄でも説明しているとおり、研究自体は順調に進捗していると考えている。というのは、研究成果としても、現在のところ今年中に刊行が予定されている単行本への分担執筆が3本、投稿査読中の論文が1本、そしてこれら以外の分担執筆が1本あるためである。タイトルなども未決定なので、文献としては示すことはできないが、これらが平成26年度の研究実績となるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応募申請書の「研究計画・方法」欄の記述の通り、平成25年度上半期は、文献研究に充てられ、Goldthorpe(2007)、Milgrom and Roberts(1992)などの組織経済学や契約理論などの理論および、日本的雇用慣行や労働法制についての研究について整理を行うことができた。また、下半期には、26年度実施の調査項目の作成のために、就業形態の多様化に焦点を当てた調査である、労働政策研究・研修機構による「多様な就業形態に関する実態調査」、また厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」といった、既存調査項目を参考にして、26年度に予定される実査においての質問項目作成のための研究を進めることができた。このような研究の進捗状況から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には本研究課題の要となる実査が予定されており、これを適切に遂行するために、基本的には応募申請書の通り慎重に研究計画を進めていくつもりである。ただし、当初の計画では、実査時期を7月下旬から8月中旬としていたが、研究代表者が所属している他の研究プロジェクトで実施する大規模な無作為抽出調査での調査項目との比較可能性も考慮に入れる方が、データの信頼性を判断する点で望ましいと考えられるので、実査時期をこれらのプロジェクトでの質問項目が確定してからの時期に変更する可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度研究計画で物品費への支出として予定していた、コンピュータ、カラーレーザープリンタ、統計ソフトがいずれも当初計画よりも安価に購入できたこと、また必要文献についても図書館などで閲覧することが可能であったり、私費購入で対応可能なものがあったことから、当初予算額を下回る実支出となった。 平成26年度は、インターネット法による実査が予定されているため、次年度使用額についても、この調査費に充当し、サンプルサイズをより大きくする、または質問項目を増やすなどの、調査をより成功させるために使用する計画である。
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