本研究課題は、雇用の流動化とともに進行しつつある、これまでの「正規/非正規」という区別ではカヴァーしきれない従業上の地位の分化について定量的に把握し、その分化と人びとの社会経済的な属性との関連について、計量社会学的にアプローチすることを目的とするものである。最終年度である平成27年度には、本研究課題に関連した業績として、査読論文1本、単行本への分担執筆2本、国際学会での共同報告1本を行うことが出来た。 なかでも、『計量社会学入門:社会をデータでよむ』(世界思想社)に所収された「若年層の働き方と収入」では、若年層における非正規雇用の経験の履歴効果について検証することが出来た。 また、本研究課題の射程には、調査票調査の方法論的検討も含まれているが、そのような研究関心の成果として、『社会学評論』66巻1号に原著論文として「階層帰属意識における調査員効果について : 個別面接法と郵送法の比較から」を発表することが出来た。 そして、本研究課題において当初、平成26年度に実施が計画されていたが、研究代表者の金沢大学への異動により実施できていなかった、インターネット法による実査についても、平成27年度に、全国の18歳から49歳までの男女を対象とした「働き方と生活についてのアンケート」調査として実施することができた。ただし、当該調査データを用いた分析は、平成27年度の下半期に集中的になされてはいるが、その成果発表については平成28年度以降となる。
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