本研究は,東京大学社会科学研究所が2007年より毎年実施しているパネル調査「働き方とライフスタイルに関する全国調査」を用いて,現代日本における地域・職場のWLB環境の現状と変化を検討し,さらにこれら要因が結婚・出生・パートナー関係に及ぼす影響の分析を行った.結果からは,職場のWLB環境は,既婚男性の家事・家庭参加に正の効果をもつものの,既婚女性に対しては,家事負担を増加させる可能性が示されたほか,地域の公的保育施設の充実は女性の家事負担と関連を持たないことが明らかになった.また,WLB環境と女性の結婚・出産意欲との関連も職種によって異なることが示された.
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