研究課題/領域番号 |
25380660
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
五十嵐 素子 北海学園大学, 法学部, 准教授 (70413292)
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研究分担者 |
平本 毅 京都大学, 経営学研究科, 助教 (30469184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 授業会話の組織化 / 教示と学習の関係性 / 協同学習の分析視点 |
研究実績の概要 |
今年度の成果は以下である。(1)一斉授業の会話の秩序と生徒の学習経験の関係に関して:授業の会話の秩序(連鎖)の進行を予測しながら、生徒らが授業会話に組み込まれうるようなデザインで発言し、またそうした発言を教師が取り込んでいくことで、授業会話が秩序だって進行していることが明らかになった(8月、IIEMCA2015)。(2)教師の働きかけと学習経験との関係に関して:授業における教師の知識の教示の仕方と生徒の学習経験の間には内在的な関係があり、教師によって教示された行為の基準が、生徒自身の学習過程を支え、生徒の学習の達成を理解可能にしていることが示された(「『教示』と結びついた『学習の達成』)。(3)協同学習を考察する視点に関して:エスノメソドロジーのワークの研究の潮流をくんだ、コンピューター支援による協同学習(CSCL)の研究の視点は、近年では学習科学の一つの研究アプローチとなっている(9月、日本社会学会)。このアプローチが協同学習における生徒の学習経験を捉える視点となることを示した(6月、子ども社会学会)。(4)分析方法論に関して:沈黙を行為として分析する視点を提示することができた(「『絶句』の会話分析」)。身体的動きやジェスチャーをどう会話と関係づけて捉えるかという問題について視点を提示し(7月、社会言語科学会)、具体的な事例分析を行った(「環境を作り出す身振り」)。(5)成果発表としての著作の出版に関して:打ち合わせと研究会を通じて、成果を論文化する作業を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)一斉授業の会話の秩序と生徒の学習経験の関係について知見を出すことができた。 (2)教師の働きかけと生徒の学習の関係について知見を出すことができた。 (3)協同学習を考察する視点について先行研究をまとめることができた。 (4)授業を分析するための分析方法論を深めることができた。 (5)成果発表のための著作の出版に向けて作業を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、各種研究会に参加しながら知見を洗練させ、これまでに学会発表した成果を論文化していく。この際、若手研究者や現職教員らを中心として研究協力を仰ぎ、以下に関する知見や研究方法を現場に還元できるよう成果発表を目指したい。 (1)一斉授業の会話の秩序と生徒の学習経験の関係 (2)教師の働きかけと生徒の学習の関係 (3)協同学習における学習経験 (4)授業を分析するための分析方法論
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、研究で使用した備品・消耗品の多くが、予備として所有していたもので済ませることができたこと、研究打ち合わせのための旅費が打ち合わせ相手の出張によって不要となったり、スカイプなどの遠隔通信を用いたことで、予定よりも費用がかからなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、備品や消耗品の購入を行う予定であり、研究成果促進のために打ち合わせや研究会・学会等へ参加するために旅費を支出する予定である。
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