研究課題/領域番号 |
25380660
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
五十嵐 素子 北海学園大学, 法学部, 准教授 (70413292)
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研究分担者 |
平本 毅 京都大学, 経営管理大学院, 特定講師 (30469184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 授業会話の組織化 / 授業の相互行為分析 / 協同学習の分析視点 / 教示と学習の関係性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会学のエスノメソドロジー・会話分析の方法論に基づき、授業の学習経験が相互行為上で組織化されるという視点を採用し、学習活動の設計(デザイン)に結びついた教師の働きかけの方法と授業の相互行為の秩序としての会話のルールが、児童・生徒の学習経験の組織化にいかに関わっているのかを明らかにすることである。 今年度の成果は以下である。(1)一斉授業の会話の秩序と生徒の学習経験の関係に関して:一斉授業の会話の秩序に関する先行研究について、集団の管理と社会化過程の観点から国内外の研究の整理を行った(9月、教育社会学会)。(2)教師の働きかけと学習経験との関係に関して:会話分析の国内外の先行研究について授業における教師の知識の教示の仕方や生徒の学習経験の観点から整理した(10月、日本教育方法学会)。(3)協同学習を考察する視点に関して:コンピューター支援による協同学習(CSCL)の研究の視点は、近年では学習科学の一つの研究アプローチとなっており、このアプローチを用いて中学校の協働学習の場面を分析しそこでの生徒の学習経験について論じた(2月、「ICTを活用した協働学習のデザインと生徒のワーク」)。(4)分析方法論に関して:他者開始の修復連鎖において、参与者がその場でのある常識的知識を「知らない」ことがどう表され、扱われるかを明らかにし、ある知識がないことが焦点化される場面を分析する一視点を提示することができた(6月、「物を知らないことの相互行為的編成」)。(5)成果発表としての著作の出版に関して:打ち合わせと研究会を通じて、成果を論文化する作業を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)一斉授業の会話の秩序と生徒の学習経験の関係について知見を出すことができた。 (2)教師の働きかけと生徒の学習の関係について知見を出すことができた。 (3)協同学習を考察する視点について先行研究をまとめることができた。 (4)授業を分析するための分析方法論を深めることができた。 (5)成果発表のための著作の出版に向けて作業を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、各種研究会に参加しながら知見を洗練させ、これまでに学会発表した成果を論文化していく。この際、若手研究者や現職教員らを中心として研究協力を仰ぎ、以下に関する知見や研究方法を現場に還元できるよう成果発表を目指したい。 (1)一斉授業の会話の秩序と生徒の学習経験の関係 (2)教師の働きかけと生徒の学習の関係 (3)協同学習における学習経験 (4)授業を分析するための分析方法論
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、研究で使用した備品・消耗品の多くが、予備として所有していたもので済ませることができたこと、研究打ち合わせのための旅費が打ち合わせ相手の出張によって不要となったり、スカイプなどの遠隔通信を用いたことで、予定よりも費用がかからなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度においては、備品や消耗品の購入を行う予定であり、研究成果促進のために打ち合わせや研究会・学会等へ参加するために旅費を支出する予定である。
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