農業および関連活動に積極的に取り組む人たちへの半構造化インタビューにより得られた語りの質的分析から,「農」への価値づけを語る言葉の語彙と論理における特徴を見いだし,7条項に整理した。その上で,旧い言葉に新しく多様な意味を付与する動きとして,「百姓」と「先祖」という2つ言葉をめぐる語りに着目し分析を行って,新しい意味づけのバリエーションと多様の中での共通の方向性とを確認した。また,「農」への価値づけに関わる重要な契機の1つとして,個人史上の深刻で劇的な問題経験(エピファニー)を少なくない対象者の間に見いだし,その類型化を行うとともに,個人的トラブルから「農」の再認識に至るプロセスを跡付けた。
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