研究課題/領域番号 |
25380672
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
平 英美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10135501)
|
研究分担者 |
馬込 武志 湊川短期大学, 人間生活学科, 教授 (10390197)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 多職種間連携 / 看護師 / 介護士 / 老健 / 本文看護・介護ステーション |
研究概要 |
今年度は主としてO病院を中心に聞き取り調査を重ねている。O病院には、一般病棟のほか老健が2カ所併設されており、また、京都市内各所で訪問看護・介護施設が運営されている。このため、医師、看護師、介護士、ケアマネージャー、理学療法士などの他職種の連携を観察するのに適切であった。当初、簡単なアンケートを導入として施設に入っていく予定をしていたが、その必要がないくらい受け入れには好意的であり、最初からさまざまな聞き取りをすることが可能であった。 老健は通常、6ヶ月までの入居であり、回復、退院を目的としている。しかし、病院入院期間の短縮化や療養型介護施設の入居困難に伴って、ターミナル期の患者を抱えるケースが多くなっている。O病院の老健の一つは、むしろ積極的にターミナル期の患者を入居させている。このため、ターミナル期の患者と接触することが少ないはずの介護士もこの施設では看取りの経験をすることになる。ほんの数年前までは、看取りの場面に介護士が積極的に参加することはなかったとのことである。しかし、看護師側からの働きかけと介護士たちの意識変革、特に患者の尊厳を守る介護技術の導入に伴って大きく事情が変化したという。 老健では、早朝のカンファレンス場面を観察させていただいた。入所者のバイタルを中心とした情報が担当看護師から淡々と告げられる一方、介護士たちから上記の変化をうかがえる発言はほとんどなかった。実際の臨床現場では入所者との関わりの中心介護士がとなっている様子が十分にうかがえた。同じ変化が訪問看護・介護ステーションでも起こっており。統括者(非看護師)を中心に、多職種間がうまくマネージされていることが聞き取りでの話し合い方からも理解できた。現在、カンファレンスや聞き取り場面の分析をすすめているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、2施設を対象としたが、実際には調査に協力していただける施設はもう少し多くある。ただ、O病院は最も先進的な取り組みを進めてきた施設であり、在宅医療における多職種間連携の現状と将来を把握するためにはまず、O病院がどのようにして現在のシステムを築いてきたのかを十分に明らかにしておくことが重要だと判断したためO老健、訪問看護・介護施設に集中するかたちになった。もう一つのW氏に協力いただいているS施設は、他職種連携の点では平均的であり、ターミナルに関わる介護士にまだためらいが残っているとのことであった。SタイプからOタイプへの変容がどのようになされるのかは、次年度以降の課題としたい。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降、研究代表者は、訪問看護師の方に同道して在宅医療の現場を訪れることに集中したいと考えている。ただ、共同研究者は、統計分析を得意としていることや購入した統計ソフトを活用するために、ターミナルへの関わりについて、当初の予定にしていた意識調査を広く福祉、介護関係者を対象に実施したいと考えている。 また、これまでも協力していただいている複数名の看護研究者を共同研究者、研究協力者等に加えて、訪問看護・介護調査の実施回数を増やす予定をしている。 質的調査と量的調査の同時並行的な進行になるが、前者の相互行為場面分析を中心に調査研究をデザインしていくつもりである。
|