研究課題/領域番号 |
25380675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
矢部 拓也 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部(総科), 准教授 (20363129)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | まちづくり / 中心市街地活性化 / 地方都市 / サイクルツーリズム / イノベーション |
研究概要 |
本年度は、滋賀県長浜市のまちづくり、富山県富山市の学生まちづくりコンペティション2013、北海道ニセコ倶知安・空知地区・十勝地区のサイクルツーリズム、福岡県北九州市・北九州まなびとEDSステーションへのヒヤリングおよびフィールドワークを行い、計画行政学会のコモンズ研究会に参加し、全国で行われているソーシャルイノベーションの実践者の報告を聞き、議論を深めた。 長浜市は、これまで中心市街地活性化を牽引していた第三セクター『黒壁』のバランスシート改善のために、(初期から支えていた)地域経営者が退任し、新たな外部コンサルと市役所主導による経営改革が始まった。これまでの成功事例と言われていた地域資本を中心としたまちづくり会社による中心市街地活性化の仕組みが1つの区切りを迎えた。地域形成に関する行政・地域資本との関わりの変化に注目してゆく。富山市は中心市街地の新たな担い手として学生を考え、継続的な支援を行い、民間企業と組んだ事業展開の可能性も生まれつつある。既存の商店主とは異なった新たな流れが産み出されるかが注目される。北海道では、海外からのインバウンドを前提とした、他地域とは異なった地域づくりが行われており、富裕層や台湾などからの顧客を対象としたサイクルツーリズムが生まれつつある。この動きは、北海道で定着するのか、また、新たな産業として成立するのかに注目している。北九州市では、民間まちづくり会社・大学・行政が連携したリノベーションスクールなど、継続的に新しいまちづくりの担い手を産み出す活動が行われている。これまでの行政主導とは異なった潮流であり、実際に新たなまちづくりの担い手が産み出されており、既存の地域構造に変化を与えるソーシャルイノベーションである。このように、次年度以降行う比較分析のための基礎調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定していた、震災地区および、北九州市でのソーシャルイノベーションの先駆けとなっている東京・神田地区での家守事業へのヒヤリングを実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施した事例調査を継続し、本年度事例調査を実施できなかった対象地への調査を開始し、比較分析を行うことで、ソーシャルイノベーション型地域再生の理念型提示に向けての理論構築を始めたいと考えている。 長浜市、富山市、北九州市は基本的には国内マーケットを対象とした展開をしている一方で、北海道は千歳空港の国際化が示すように外国のマーケットをも含めた展開をしており、対照的であり先進的である。従来の地方都市は、東京中心の潮流の中で、どのようにローカル社会を形成し地域再生(ソーシャルイノベーション)をなすかが課題であったが、北海道・ニセコ倶知安地区は、グローバル化社会の中で、逆に、海外から人を呼び込む中で、どのように北海道のローカル社会を形成(ソーシャルイノベーション)するかが課題となっている。この対照的な事例を比較することで、事例以外の他地域を分析する際の指標となるような、ソーシャルイノベーション型の地域再生の理念型を作ってゆきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
北海道の事例が急展開を見せ、新たに台湾との交流が強くなりそうになったので、「東京・神田の事例、盛岡市の事例、震災地区の事例調査」を次年度に回し、台湾調査を実施しようとしたが、インフォーマントマンの台湾出張時期と、本務校での学事日程などが重なってしまい、調整がつかず、台湾などの追加調査が実施できなかったため。 次年度、集中的に、東京、東北地区の調査を行う。
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