研究課題/領域番号 |
25380676
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
室井 研二 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20310013)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 災害脆弱性 / 事前復興対策 / 南海トラフ巨大地震 / 開発 |
研究実績の概要 |
本研究の調査対象地(南海トラフ地震被災想定地域)を高知県高知市下知地区、愛知県名古屋市南区星崎学区、白水学区に確定した。これら3地区の自治会や自主防災会を対象に、地域の歴史的沿革(特に開発に伴う土地利用や自治組織の変動)、過去の災害履歴(被害の特徴、復興過程、災害下位文化等)、東日本大震災後の地域防災活動の変化等に関して、継続的にヒアリング調査を行った。また、市や区の防災担当課を対象に防災行政(特に事前復興対策)に関するヒアリングを行い、各種資料の収集に努めた。東日本大震災の被災地(宮城県石巻市、東松島市)でも市や被災者を対象に復興事業の現状と課題に関するヒアリング調査を行い、事前復興対策への示唆を探った。これらの現地調査の結果を取りまとめ、地域社会学会研究例会(2014年6月)、弘前大学防災社会研究会(2014年8月)、日本都市社会学会(2014年9月)で報告した(題目は順に、「被災地研究からの飛躍に向けた試論」、「自治体間支援全国調査から見える地域社会」、「分権化と災害支援」)。 2014年12月には上記3地区を対象に「防災とコミュニティに関する意識調査」と題するアンケート調査を実施した。自治会の協力が得られたことで、郵送法にもかかわらず45.5%の回収率(配布総数1100票)をあげることができた。このアンケートは防災対策の前提となる地域社会の構造的特質を把握することともに、そうした社会的変数と防災意識の関連を探ることを目的としたものであり、本研究の核となるものである。調査結果に関する基礎的分析は年度内に済ませ、パンフレットにまとめて調査地に還元するとともに、分析結果をとりまとめたものを2015年3月に開催された東日本大震災研究交流会で「南海トラフ地震の事前復興対策に関する予備的考察」と題して報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は調査対象地の選定が難航したこともあって研究の進捗は遅れ気味であったが、それが確定した後は比較的順調に研究をすすめることができた。最大のハードルであった質問紙調査も無事実施することができ、自治会の協力が得られたことで予想以上の回収率を上げることができた。高知市と比べると名古屋市の調査がやや立ち遅れているが、研究の遂行に必要な資料、データは概ね予定通り収集することができている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の上半期はアンケート調査の計量的な分析を進めるとともに、現地調査も高知市に比べて遅れがちな名古屋市に重点を置いて継続する。また、これまでの調査成果を学会で報告し、調査論分を執筆する。下半期はこれまでの研究成果を総合的にとりまとめた調査報告書の執筆に専念し、2月を目処に冊子体として刊行する。
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