研究課題/領域番号 |
25380678
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中道 仁美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (30254725)
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研究分担者 |
大友 由紀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (00286121)
柏尾 珠紀 滋賀大学, 環境総合研究センター, 客員教授 (70414034)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 女性 / 林業 / スウェーデン / 女性林研 / ジェンダー / 農家林家 |
研究実績の概要 |
本年度は、計画に基づき、国内調査は岩手県の林業女性、女性林研の前会長へのインタビューを行った。岩手県の林業女性では、事前調査では活発に活動しているように見えたが、現場では実際はほとんど行っていないということであった。県も十分に把握しておらず、このこと自体が課題であると感じた。つまり、林業女性に関する情報不足を痛感するとともに、農家林家であることから、農業女性リーダーと林業女性リーダーが一体化して現れることを痛感した。 女性林研の前会長への調査では、女性林研の発足に関わった女性の話、本人の林業への関わりなどを聞き、女性林研の活動と自身の林業経営が一体となっているところが興味深かった。 海外調査は、林業が国の産業に重要な影響力を持っており、女性の社会参画でも著名なスウェーデンで行ったが、当初の予定よりも調査が難しかった。国の林業関連部署、林業関係団体では女性林業者を十分に把握しておらず、スウェーデンでさえもで女性林業者の情報不足であることがわかった。調査に関する多様な手法を駆使して、ようやく林業女性に調査したところ、女性の山林所有者(林業経営者)が多いこと、またその多くが、狩猟に興味を持ち、そのために山林を所有し、林業を経営していることがわかった。このような女性の多くは、林業労働は組合に委託しているのがほとんどで、森林組合が大きな影響力を持つほど機能していた。一方、一部ではあるが、女性林業労働者もおり、自分の山林を所有していた。林業技術は、職業学校や高等教育で習得していた。 スウェーデンでは林業が国の重要な産業であり、それゆえ、調査に際しては利害関係に触れることもあり、難しい場面が多かった。今回の調査では、これまでの様々な人間関係により、それなりの調査が行え、次の調査に向けた新たな人間関係を築くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査(スウェーデン)は、当初の予定よりも困難であったが、関連機関、団体の調査は予定以上であり、個別林業女性への調査も10名を超えて行うことができ、唯一の女性林業者の団体への調査も行うことができ、それなりの成果は得られた。 国内調査は、対象が年度で若干変わったが、それなりの成果が得られている。 研究発表も、国際学会の発表は報告者人数制限により林業女性単独での報告としては断念したが、研究成果の一部、農家林家女性に関係して報告を行い、国内学会では林業女性、農家林家女性に関係して報告した。また、成果の一部を雑誌等に寄稿した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の研究では、計画と順序が異なったが、国内ではその他の林業女性関連団体への調査を行うとともに、林業女性への個別調査を継続する。 海外調査では、順序が異なったが、ドイツの林業女性への調査を行う。ドイツ調査については、分担者の一人の大友が十分な調査時間が取れないことから、2名で調査を行い、調査結果の検討会に参加してもらう。 学会報告については、国内の学会で成果の一部を報告し、寄稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査において、節約に努めた結果、非常に少ない額ではあるが残額が生じた。次年度も調査に多額の費用が見込まれていることから、少しでも残して使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
上記にあるように、本年度も海外調査で費用がかさむ。他の研究費を使用せざるを得ない状況であり、調査全体に利用する予定である。
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