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2014 年度 実施状況報告書

都市分析の基礎統計単位設定に関する方法的検討

研究課題

研究課題/領域番号 25380681
研究機関首都大学東京

研究代表者

玉野 和志  首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00197568)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード都市 / 都市化 / グローバリゼーション
研究実績の概要

初年度にその有効性が確認できた都市地域区分の設定にもとづいて,国勢調査と事業所統計調査のデータを入力し,分析が可能なデータセットを作成した.主に三大都市圏に関する分析を行い,以下のような結果を得た.国勢調査の人口推移から見た都市圏の盛衰という点では,関西圏の衰退が目立ち,これにたいして関東圏と中京圏は比較的良好である.事業所統計の結果からは,いずれの都市圏においても製造業の衰退が顕著であることがわかった.中京圏は豊田を中心に製造業が比較的維持されているのにたいして,関東圏と関西圏の落ち込みは激しい.関東圏がインターネット関係の情報通信サービス業の伸びが目立つのにたいして,関西圏では十分な伸張がみられず,この点が関西圏の困難な状況をよく示している.また東京圏においても,諸外国で言われるような金融・会計・法務・経営などの生産者サービス業の伸びが中心とはいえないことが明らかになった.以上の点から,グローバル化の下での日本の都市の状況がより的確に把握できたように思う.すなわち,衰退したとはいえ,まだ比重の大きい製造業と新しく台頭した情報通信サービス業によって辛うじて発展が維持されていて,創造的な生産者サービス業への転換はまだ十分ではないという現状である.その他,まだ十分な数を確認できていないが,地方都市の状況としては,なんとか人口を維持している都市と徐々に人口が減少している都市に分化している傾向が見られた.
以上から三大都市圏周辺の状況については,ある程度の傾向が明らかにでき,その有効性も検証できたので,これらの知見をさらに広げるために,予算の制約も加味しながら,分析の対象を中国地方と九州方面に広げ,太平洋ベルト地帯を網羅することにした.岡山,広島,北九州,博多について,同様の都市地域区分の設定作業を行い,今年度はとりあえず国勢調査のデータ入力までを完了することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究によって見出された都市地域区分にしたがって,国勢調査と事業所統計の結果を分析できるデータセットを作成することによって,その有効性がより明確に確認できたと同時に,三大都市圏に関するグローバル化の下での日本の都市の全般的な状況について,的確な知見を得ることができた.この点で本研究の主要な目的は達成できたと考えられる.ただし,当初予定していた都市地域区分の簡易版を作成することは困難であることが明らかになり,この点は断念することになった.その代わり分析の対象を三大都市圏から太平洋ベルト地帯にまで広げることにした.そのことによって,日本全国の分析をするだけの価値があることを確認するための初発段階の研究としては,十分な成果を上げるだけの目途が立ったと考えている.

今後の研究の推進方策

研究計画の最終年度にあたる次年度においては,これまでの成果を学会等で報告すると同時に,英文も含めた研究成果発信用のWebサイトを立ち上げ,海外も含めた外部への発信を強めていきたいと考えている.とりわけ,本研究でえられた日本の都市区分に関する基礎的な統計単位の設定については,その区分を積極的に公開し,多くの研究者が利用できるようにしていきたい.
さらに,今年度広げた部分に関する事業所統計の入力作業も行い,分析を進めることで,太平洋ベルト地帯における日本の都市地域の基本的な状況も,内外に情報発信していきたいと思う.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] RC21 Urban and Regional Development──グローバル・アーバニゼーションの下での都市・地域研究の方法2015

    • 著者名/発表者名
      玉野和志
    • 雑誌名

      社会と調査

      巻: 14 ページ: 52-53

    • DOI

      ISBN: 978-4641199965

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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