研究課題/領域番号 |
25380682
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川畑 智子 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (90374256)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ハラスメントの分類法 / クラスター分析 / セクシャル・ハラスメント事例 / テキスト分析 / SPSSを用いたテキスト分析 / テキスト分析の方法論 |
研究実績の概要 |
平成25年度は、全国の日本の国公私立大学1137を対象に、アンケート調査を行い、ハラスメント防止対策マニュルアルやそれに準ずる資料を482資料収集した。平成26年度は、科研協力者とともに482資料を全て電子データ化し、データ整理し、テキスト分析のための下準備を行い、分析計画を練った。 482資料中、資料タイトルに「ガイドラン」または「指針」と記載されている148資料を対象に、テキスト分析ソフトに読み込むためのエクセルシートの原本を作成する下準備を整えた。具体的には、1.全ての資料にIDをつけ、全ての資料を印刷→2.印刷した資料をスキャンしてワード化→3.ワード資料の文字化け修正→4.プレーンテキストエディタをもちいてプレーンテキスト化→5.全てのテキストを一文一行に配列する作業を実施した。全ての工程でダブルチェックまたはトリプルチェックを行った。 この作業と並行して、148資料を大学ごとに統合し、各大学がハラスメントをいくつに分類しているか、どのような名称を用いて分類しているかについてダミー変数を用いてカウントし、クラスター分析を行った。パワー・ハラスメント、セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントの3分類法を用いている大学のうちセクシュアル・ハラスメント事例が掲載されている大学を抽出し、テキスト分析を実施した。 研究成果の報告は、学会および研究会にて3回報告し、海外のオンラインジャーナルへの論文投稿(掲載済)を1回行った。昨年度に引き続き、科研研究会を1回開催し、研究協力者(大学院生2名)とともに報告を行った。実務レベルでは、教職員を対象にFD研修(国際FDワークショップ 初心者向けキャリア・カウンセリング入門)を実施し、国内外から大学カウンセラーを招へいして学生相談支援の基本について学習する機会を提供した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた定義の分析にまで至っていない。その理由は以下のとおりである。 ・テキスト分析の下準備にかなりの時間を要する。テキスト分析ソフトの使い方が予想以上に難しい。SPSSテキスト分析ソフトのマニュアルは市販されていないため、手さぐりで操作方法を学習しなければならない。 ・人員不足のため、作業がなかなか進まなかった。特任教員であるため、身近に仕事を依頼できる大学院生がいないため、適任の人材を探すのに苦労する。 ・エフォート10%という制約があったため十分な研究時間を作ることができなかった。 ・膨大な資料の中から、分析対象となるテキスト(宣言文、定義、事例)をいかにバイアスのない方法で抽出し、正確に、効率よくデータ化し、整理してテキスト分析を行うかについて考案するのに多くの時間がかかった。新しい問題に直面しては議論し、調査方法論を確立するまで試行錯誤を繰り返しながら進めなければならなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
・今年度6月に開催される北海道社会学会でテキスト分析を用いた結果を報告する。 ・イギリスの大学におけるハラスメント予防の取り組み事例について情報収集し、イギリス の大学で主要な役割を担っている人物を調査訪問し、指導・助言を受ける。 ・上述した148資料を対象に、大学ごとにハラスメント予防の宣言文、事例、定義が記載されているテキストを抽出し、エクセルシートを作成する。大学ごとに作成したエクセルシートを統合してデータ原本(読み込み用エクセルシート)を作成し、SPSSテキスト分析ソフトに読み込み、分析を行う。この成果の一部を今年度中に報告する。 ・今年度中に原著論文を研究協力者2名とともに執筆し、1本投稿する。 ・今年度中にホームページを作成し、本科研の成果を一般に公開する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
複数のイギリスの大学を調査訪問するための十分な調査期間を確保することができなかったため、調査に行くことができなかった。そのため、海外旅費、滞在中の文献複写費、運搬費、通信費の支出がなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
2015年5月の連休を利用してイギリスの大学におけるハラスメント予防の取り組み事例について情報収集し、イギリスのロンドンにある関連機関や大学関係者を調査訪問し、指導・助言を受ける予定である。
|