平成27年度は、1.引き続きテキスト分析のためのデータ整理をした。2.ハラスメント防止関連資料を対象とするテキスト分析と、3.日英の大学関係者を対象にハラスメント予防の取り組みについて聞き取り調査を実施した。その成果の一部は、学会報告5回、講演会1回、論文1本(掲載決定、2016年6月発行予定)により公開した。概要は以下のとおりである。上記1については、①248校を対象に、ハラスメントの名称と分類の個数を入力し、個々の資料と大学基本情報のひもづけをした。②このうちセクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメントの3分類法を用いている大学130校を抽出し、大学ごとに「事例」を抽出した。③その後、各分類ごとに「事例」の一覧表を作成した。上記2については、上記1で準備した一覧表を用いて、①130校のハラスメントの分類方法の特徴についてテキスト分析とクラスター分析を実施し、日本の大学が「ハラスメント」と見なす行為を何種類に分類しているのか調べた。②日本の大学のハラスメント防止ガイドライン174資料を対象にガイドラインのタイトルの特徴についてテキスト分析とデータ解析を実施し、「セクシュアル」という語の有無でタイトルの内容に差があるかどうかについて検討した。その結果を受けて、③130校中、セクシュアル・ハラスメント事例があり、男女の学生総数の回答があった28校を対象にテキスト分析を実施し、女性の割合と男性の割合がそれぞれ多い大学の特徴を比較分析した。①~③の成果の一部は、6月に学会報告、10月の講演会で一般市民を対象に一部報告した。上記3については、日英の大学関係者8名を対象に聞き取り調査を実施し、ハラスメント概念の有無とその実態、各校のハラスメント防止の取り組みについて調べた。そのためのテープ起こしと翻訳作業を行った。この成果の一部は、9月に学会報告した。
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