研究課題/領域番号 |
25380685
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
藤田 栄史 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (50110755)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 生産システム / 自動車産業 / 雇用システム / 若年労働 |
研究概要 |
第一に、自動車産業における雇用・企業・生産システムの変容について、資料収集を継続的に行うとともに、日野自動車本社工場の見学・ヒアリングを二回にわたって実施した。トラック組立に流れ作業の生産方式をとらない「日時計工房」と呼ばれている組立生産方式の工場について詳細な調査を行うとともに、流れ作業方式の組立ラインにおいても、部品の「台セット供給」方式が取られ、組立順序をグローバルに標準化し、組立のモジュールをグローバル工順として確立するなど、生産システム変容の現状について把握することができた。また、自動車産業について、これまでに収集した紙ベースの資料を共有しやすくするために、PDF化して保存する作業に取りかかった。 第二に、従業員の採用・配置・育成とその処遇について若年従業員に重点を置いた予備的な事例調査を行う計画であったが、事例調査の設定がスムーズに進んでおらず、関係する資料の収集にとどまっている。 第三に、愛知県における若年労働の全般的な変化について検討するために、名古屋市子ども・若者総合相談センター、なごや若者サポートステーションをはじめとする若者支援機関・組織関係者などから報告を受けて意見交換する研究会を開催した。また、高卒就職に関する資料収集を継続的に行うとともに、大学生のアルバイト労働について質問紙調査を実施した。若年労働においてとりわけ進行している雇用の非正規化は、非正規労働者が職場の「基幹的」労働を担う傾向を生み出しており、学生のアルバイト労働においても職場の「基幹的」職務を担うケースが増加し、「正社員並み」の労働規律をアルバイト者が内面化する傾向が生じているという調査結果が得られている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自動車・電機機器産業を中心にして雇用・企業・生産システムの変容の第二フェーズを明らかにするため、これまで連携研究者と共同で行ってきた研究成果を英文でまとめる作業を進めているが、想定した以上に作業進行に手間取っている。このこともあって、計画していた新規の見学・ヒアリング調査が当初の研究計画に比しやや遅れた状態にある。
|
今後の研究の推進方策 |
自動車・電機機器産業を中心にして雇用・企業・生産システムの変容の第二フェーズを明らかにするため、これまで連携研究者と共同で行ってきた研究成果を英文でまとめる作業のテンポを速める。自動車産業の企業戦略・生産体制・雇用関係に関する国際的研究ネットワークであるGERPISAの年次研究大会が6月初旬に日本で開催される機会を生かして、英文による研究成果とりまとめを一層推進したい。 若年従業員に重点を置いた予備的な事例調査を行う計画であったが、事例調査の設定が困難な状態にあり、代わりの調査方法の検討を行うことを含め再検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
残高が少額であり、有効に活用する次年度に使用することとした。 少額であるが研究計画に従い適切に使用する。
|