研究概要 |
2013年度は、1990年代以前の二つの基礎的テキスト、Carmatz, T., The Social Reality of Death, 1980とKearl, M.C., Endings: A sociology of Death and Dying, 1989 の批判的検討を通して、「死の社会学的分析」の原論部分に該当する一次草案の作成を第一の目標として設定し、およその輪郭を描く段階に達した。その成果の一端は、2014年度の国内、国際学会で報告する予定であり、報告受理の連絡をすでに受けている。 また、2013年度の第二の目標として設定した、90年代以降の「死の社会学」の基本文献の収集・整理も一定程度進展し、現在はその内容の検討・整理を進めており、同時にこれまでの収集で欠けている分野・文献の確認も進めている。現段階で確認できている点、および課題に関して言えば、A.1)葬儀関連・葬送儀礼、2)水子、3)検死・献体関係の文献がかなり希薄であること、B.1)戦争・ホロコースト、2)自殺・自死、3)死生観関係の文献のうち、社会学的文献の仕分け規準をどのように設定するのか課題がある、という点が挙げられる。 第三の目標として設定していたフィールドワークの実施が、上記二つの作業にかなりの時間を要し、まだなされていない。上記二つの作業を進めながら、インタビュー項目を含めた調査設計はある程度の目安はついているので、2014年度のうちに、少なくとも法医学・検死関係、および葬儀産業・葬送儀礼に関してのフィールドワークを終える予定である。
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