言説分析や定性的調査により、近年の沖縄の基地問題が自己責任論で語られる傾向が見られる一方で、ポジショナリティを基盤とした日本人の政治責任として議論されることが顕著になったこと、その具体的な運動化として「基地引き取り運動」がうまれたこと、日沖の若者への定量的調査により沖縄において日本社会への高い親密性と、基地問題での大きな意識差、基地集中を差別と捉える視点の存在、また日本に居住する沖縄系住民への聞き取りから、アイデンティティとポジショナリティの葛藤から、様々な相互作用が積み重ねられてきた経緯、等が明らかになった。これらより、ポストコロニアルな文脈で日本と沖縄の関係を捉え直す契機が提供可能である。
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