研究課題/領域番号 |
25380698
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
南 保輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (10266207)
|
研究分担者 |
平井 秀幸 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (00611360)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 薬物依存 / 社会復帰 / 縦断インタヴュー / ダルク / ライフヒストリー |
研究概要 |
薬物依存者の「回復」を初期・中期・後期の3期に分け,初期から中期にかけての状況に焦点をあて,薬物依存者のための民間リハビリ施設である「ダルク」においてこれまでに収集したインタヴュー調査データの詳細な検討を行った。その検討に基づきダルク利用者14人のライフヒストリーを作成した。その結果,薬物依存に至る経路がさまざまであることに加えて,薬物依存から「回復」する道筋もまた多様なものであることが明らかとなった。再使用が少なくなり断薬期間が伸びているひとがいる一方で,再使用が止まらないというひとも少なくなかった。職業としては,一般社会で職業人となっているひともいる一方で,ダルクスタッフというかたちで社会生活を組み立てているひとも少なくなかった。「スピリチュアルな成長」という新たな調査焦点が浮かび上がってきた。 調査活動としては大都市圏の2つのダルクでのフィールドワークを行い,ダルク利用者とスタッフにたいするインタヴュー調査を実施した。研究会は1年間に8回行った。2013年10月に慶應義塾大学において開催された日本社会学会第86回大会において,「ダルクにおける『回復』の社会学的検討II(1)―(6)」という6つの口頭発表を行った。フィールド調査に基づく分析に加えて,ダルクが実施したサーヴェイ調査のデータの二次分析を行い,ダルクという自助組織への満足度の状況とこれを規定する要因を探った。 本科研は前科研の発展的な課題であり,前科研の成果を収録した書物(『ダルクの日々』)を出版したことも付言しておく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規データ収集という面ではやや遅れているものの,これまでの調査結果のまとめという面では大いに進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
社会復帰がかなり進んでいるダルク関係者へのインタヴュー調査を進める。とくに,ダルクスタッフは,メンバーへの支援活動を通じて,自身の回復が促進されるという側面が強い。スタッフを対象とする調査を重点的に行う。 可能であれば,相互作用場面のヴィデオ分析にも取り組みたい。ダルクにおけるミーティングは,「言いっぱなし,聞きっぱなし」が原則である。だが,調査協力を得ているあるダルクでは,別タイプの会合を持っている。これの録画・録音が可能であれば,ミクロな相互作用分析の試みを進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
インタヴュー調査の実施がやや遅れたために,その起こし作業の謝金として予定していた分が少し翌年まわしとなった。 調査に取り組む体制を整えて,インタヴューを含むフィールド調査を早めに進めていく。
|