薬物依存からの自助回復組織ダルクにおいて調査を行い,11人のダルクスタッフの「回復」について明らかにした。スタッフとなった経緯もその経歴もさまざまだったが,スタッフ業務経験がスタッフ自身の「回復」に生かされていた。スタッフ業務は,利用者のサポートと施設運営とからなる。利用者サポートが基本であり,これを通じて得られるスタッフとしての学びも手応えも大きなものであった。スタッフも薬物再使用の危機に見舞われるが,ミーティング出席やステップ学習という基本を活用して乗り切っていた。ダルクスタッフは,薬物依存者の「社会復帰」のひとつのかたちとなっていた。
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