研究課題/領域番号 |
25380699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
廣田 康生 専修大学, 人間科学部, 教授 (60208890)
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研究分担者 |
藤原 法子 専修大学, 人間科学部, 准教授 (60573300)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 「トランスナショナル・コミュニティ」 / 場所形成 / 場所のオーセンティシティ / イーストビレッジ / コリアタウン |
研究概要 |
本研究は、「トランスナショナル・コミュニティ」の形成原理とその都市社会学的意味と題して、「トランスナショナル・コミュニティ」の研究が、都市社会学特に都市的世界の研究にどのような可能性を切り開くのかを追及するものである。この研究目的の実現のため、実施計画として、1.還流的な移動による成員の交代にもかかわらず社会的凝集がどのように保たれているか、2.必ずしも居住の近接性にもとづかないコミュニティの形成はどのように可能か、3.移動する人々と地元住民による多様な「場所形成(place-making)」過程がどのように進行しているかているかの3点に絞って、理論的、方法論的検討と準備的なフィールドワークを実施した。特に初年度の平成25年度は、「場所形成」の過程が、人や情報の結節点となる「施設」―レストラン、カフェ、居酒屋、送金業、教会、モスク等―をとおして進行していることを、R.オルデンバーグの「サードプレイス(第三の場所)」概念を検討することで理論的、方法論的検討を行い、実際に、新宿大久保・百人町のコリアタウンやイスラム・スポットをフィールドにその実態を検討し、さらに、「場所形成」が都市的世界にもたらす多用な運動として、「場所のオーセンティシティ」「都市のオーセンティシティ」―その場所特有のアイデンティティや方向性に関する多様な認識―がどのようにエスニシティと受け入れ住民との間で議論されているかについてフィールドワークを実施した。なお、東京新宿コリアタウンを中心にしつつも、ニューヨーク市マンハッタンのアジア人街イーストビレッジでも、日本人自営業者、起業家、タウン誌編集者への聞き取りを実施し、次年度に予定している本格的な研究作業とリンクkするかたちで、研究分担者藤原のニューヨーク大学での在外研究を同大学にお願いするなどの準備作業も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究目的に沿って、1.結節点もしくは「サードプレイス」としての「エスニック施設」の役割の考察が順調に進み、方法論の確定につながったこと、2.「場所形成(place-making)」過程に焦点をあわせることで、「トランスナショナル・コミュニティ」の形成原理に迫ることができたこと、3.この過程から得られる多様な「場所のオーセンティシティ」に関する考察が、直接に、都市的世界の新たな研究に結びつく感触をえたこと。4.実際に、東京とマンハッタンで、インタビューを実施できたこと、5.次年度に向けて、研究分担者藤原のニューヨーク大学への在外研究が決まりそうなこと等、の理由で、研究計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度と同様の方法で、日本では東京新宿のコリアンタウンで学生の協力も得ながら「場所のオーセンティシティ」に関するインタビューを実施し、ニューヨーク市マンハッタンのイーストビレッジでは、今年度同様、「ニューヨーク日系人会」や、今年度コミュニケーションをとることができたニューヨーク大学及びニューヨーク市立大学の研究者の協力も得て、イーストビレッジをフィールドにして、日本人街の形成に見る「場所形成」と日本人街としての「場所のオーセンティシティ」に関するインタビュー調査を実施する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、年2回予定していたニューヨーク市マンハッタンンでのインタビュー調査の予定が合わず年1回になり、その分の旅費の出費が実行できなかったのが主たる理由であり、この分は、平成26年度に回数を増やすことで実行できると考えている。 平成26年度は、「場所形成」における「場所のオーセンティシティ」に関するインタビューと資料収集を、東京新宿のコリアタウンと、ニューヨーク市マンハッタンのイーストビレッジで実施することが決定している。特に、イーストビレッジでの日本人街を作りだすことに重要な役割を演じたアントレプレナーー日本系レストラン棟を12軒営業しているキーパーソンへのインタビューをさらに深く展開する予定である。
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