インドネシアでは権威主義体制が崩壊したのち実にたくさんの地方テレビ放送が出現した。かれらが守ろうとしている地域文化の内容を特定し、地域文化形成のメカニズムを明らかにしていくことをめざした。しかし、地方テレビ放送の多くは経営の脆弱さから中央の放送局のネットワークに組み込まれつつあり、地域文化形成の役割を担っていると言いうる局は多くはなかった。また、他方では、多くの地方テレビ放送が支援を求めて自治体のPR番組を制作している。地方放送の発展をめざした2002年放送法の精神は、ほとんど無視されているように思われる。全体として、インドネシアでは放送行政のガバナンスにおおいに問題があると考えられる。
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