日本と台湾の油症事件の被害構造とそれに対する政策に着目した調査研究を実施した。台湾油症事件においては、いまだかつて社会学的調査研究がなされなかったため、まず事件に関係する主体連関図作成から始まり、現地で調査が実施できるような関係つくりから始めた。 成果として日本においては、潜在患者の顕在化を促した五島市の油症政策に着目した結果、ソーシャルワーカーの存在が患者との良好な関係を築き、患者の顕在化を促してきたことが確認された。さらに2012年制定の油症患者救済法と2015年に台湾で制定されたケア法の制定過程とその内容も検証した。その結果、日本と台湾では、被害の捉え方に違いがあることが確認された。
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