本研究では、医療現場の現役看護師に対してライフストーリー的方法でインタビューを行い、看護ケアにおける「語り」の果たす役割について考察した。成果として以下の4点の知見が得られた。①患者自身による「語り」は本人たちの病いの経験の再解釈を促し、その経験に意味を与える可能性がある。②看護師が患者に徹底してより添い、彼らの「語り」を聞くことで、彼らの世界の深い理解が可能になる。③その理解に基づいた看護「介入」は、患者と彼らと関わる家族などの関係改善に有効である。④看護師の「語り」は、実践的な看護ケアの共有化をもたらすだけでなく、看護ケアの反省的検討を促し新しい「気づき」をもたらす可能性がある。
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