研究課題/領域番号 |
25380717
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長瀬 修 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (60345139)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 障害学 / 人権 / 国際連合 / 差別 / 障害者 |
研究実績の概要 |
知的障害者向けの分かりやすい障害者権利条約作成の作業を継続した。研究に協力してくださっている知的障害者本人活動リーダーそして、知的障害の専門家と3人で、本文を分かりやすくするためのイラストの作業を進めた。イラスト執筆自体は、知的障害者本人活動リーダーが担当している。分かりやすい文章と、その内容を適切に描写するイラストのマッチングが課題である。また条約を貫く原則(一般原則、第3条)の重要性が明らかになり、どのように作業に反映させるのか検討を重ね、刊行に向けて進めている。 さらに本研究活動の一環として、2015年2月20・21日に東京大学経済学部にて、「東アジアにおける障害者権利条約の実施と市民社会」公開講座を科研費「社会的障害の経済理論」(研究代表者:東京大学経済学研究科松井彰彦教授)と共同で開催した。同公開講座には、中国、香港、韓国、モンゴル、台湾の各国・各地域で活動している、障害者組織代表を含む市民社会の代表を招聘した。パラレルレポートを含む、市民社会としての取り組みが条約の国際的モニタリングに大きな影響を及ぼしていることが改めて確認できた。 障害者権利委員会も引き続き、傍聴を継続した。モンゴルを中心とした第13会期(2014年3月・4月)、ケニアを中心とした第14会期(2015年8月・9月)である。また、締約国会議第8会期(2015年7月)にも出席した。条約の実施に障害と開発、とりわけ2015年9月に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の実施が大きな影響を与えていることが判明した。こうした研究成果は様々な媒体で速やかに社会に還元している。 最終成果である障害者権利条約の最新の分析に基づく総合的解説書刊行に向けて各分野の専門家との共同研究作業を進めた。すでに信山社からの刊行が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
知的障害者と共に進めている分かりやすい障害者権利条約作成が進んでいるほか、総合的な障害者権利条約解説書作成に向けての作業が進んでいるため。両者とも具体的に出版計画がある。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度前期に予定されている障害者権利条約の日本政府による第1回報告の分析も含む総合的な障害者権利条約の解説は、アカデミックな「パラレルレポート」としての役割も果たせるよう、障害者を含む各分野の専門家と協力して進める。今年度も障害者権利委員会の傍聴を含む審査の最新傾向分析、障害者権利条約締約国会議への参加を続け、最新の国際的な審査動向を。特に注目するのは2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の実施と障害者権利条約実施の関連性である。分かりやすい障害者権利条約の完成に向けても取り組みを着実に進める。
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