• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

現代社会における老いをめぐる社会構想の編成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25380718
研究機関中央大学

研究代表者

天田 城介  中央大学, 文学部, 教授 (70328988)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード高齢者政策 / 社会保障 / 戦後日本型生存保障システム / 世代間関係 / 分配 / 東アジア / 歴史社会学 / 国際比較分析
研究実績の概要

本研究は、戦後日本社会における高齢者政策を中軸とした社会保障制度の歴史的変容を解読しつつ、東アジア諸国との国際比較分析を実施することを通じて、①戦後日本型生存保障システムの変容、②現代社会における世代間関係・世代間分配の変容、③超高齢社会/人口減少時代における老いをめぐる社会構想の編成などについて解明することを目的とする。上記目的の達成のため、2016年度は以下3点から研究を展開した。
第一に、2013年度米国調査研究、2014年度の東アジア福祉国家研究、2015年度の韓国調査研究を踏まえ、2016年度は「戦後日本型生存保障システム」という観点から戦前・戦後の日本社会の歴史診断を行った。とりわけ、「戦後日本型雇用システム」と「戦後日本型家族」という二つの分析軸からその歴史診断を実施した。その成果は複数の学術論文として発表した。
第二に、現代日本社会の超高齢化/人口減少という社会現象に対する社会学的分析を行った。その成果も学術論文として発表し、2017年度は著書で発表する予定である。
第三に、2013年度中の在外研究の研究拠点であったカリフォルニア大学バークレー校の社会学者と引き続き共同プロジェクトを展開すると同時に、ハーバード大学アジアセンターが中心に進めている「アジアの高齢化」に関する研究プロジェクトにコミットする形で研究を展開し、また国立民族学博物館の森明子教授を代表とする研究チームとの交流を通じて社会学と文化人類学を横断する視点から現代日本社会の老いをめぐる社会構想の編成を明らかにしている。2017年度中に英語論文として発表する。
以上のとおり、本研究は着実かつ飛躍的に発展している。国内外で数多くの研究成果を発表しつつあるが、引き続き国際的な情報発信に努めたい。加えて、2017年度は2冊の単著、2冊の編著を刊行する。また、これらの研究成果を国際学会等で発表していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

現在までの達成度としては、研究発表にあるように、①個人の業績として着実かつ飛躍的な研究展開ができたこと、とりわけこれまでに書いてこなかった主題について生産的に論文をまとめることができたこと、②海外の研究者との共同プロジェクトでの成果をフィードバックする形で研究が精緻化されたこと、③国内の研究者との研究会等を通じた交流によって自らの研究の独自性・独創性を強く意識化しつつ、論考を進めることが可能であったことなどから、当初の予定以上に進展しているといえる。
①の成果としては、複数の論文等を発表することが可能であった。また今後の予定としても、2017年度は「研究の総決算」の年度であるため複数の著書を刊行する予定であり、確実な進展・飛躍的発展を示すことができると予想される。
②の成果としては、カリフォルニア大学バークレー校の社会学者との共同プロジェクトならびにハーバード大学アジアセンターのプロジェクトのコミットメントによって、さらには国立民族学博物館森明子教授を中心とする研究チームに積極的に参加することによって「現代社会における老い」に対する価値づけをいったんは宙づりにする形で(領域横断的に)日本の超高齢社会/人口減少社会の歴史的・制度的変容を論考し、研究を発展することができており、今後の更なる研究の新手が期待される。
③の成果としては、国内外の学会で議論を交わすのみならず、比較的小規模で議論することが可能な研究会を組織化することで論考を深めることが可能となり、自らの研究の独自性・独創性を強く意識した研究展開が可能であった。

以上の3点を中心に研究成果を着実かつ飛躍的に生産することができている。

今後の研究の推進方策

2016年度に引き続き、2017年度は以下3つの点から研究を遂行する予定である。
第一に、日本社会における教育や労働を含めた社会保障システム/生存保障システムの変容、世代間関係の変容に関する研究を継続的に進める。すでにこうした「戦後日本型生存保障システムの歴史的変容」に関する論文は執筆してきているため、2017年度は複数の単著として刊行・発表する予定である。すでにその多くは脱稿しており、確実に研究発表を継続的に行っていくことを予定している。
第二に、2013年度アメリカ調査研究、2014年度東アジア福祉国家研究、2015年度韓国調査研究に続き、2016年度の戦後日本型生存保障システム研究に続き、2017年度は台湾・シンガポール等での調査を実施する。特に、シンガポールに力点をおいて調査を遂行する予定である。このように文献研究のみならずフィールドワークも継続的に実施しており、実証的な分析を行うことを予定している。
第三に、2017年度も引き続き国際的な学術ネットワークの形成を積極的に図りつつ、国際学会での発表や国際研究プロジェクトの企画・運営・発表などを積極的に行う予定である。とりわけ学際的視点から「現代日本社会のおける老いの社会構想の編成」を解明することを予定しており、堅実かつダイナミックな研究を展開できると予想される。
以上のとおり、2017年度以降も本研究は継続的に推進し、より発展的に展開する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 成り上がりユダヤ人中産階級の自己意識を土台にした社会理論/エスノグラフィー――自らの悲劇に対する冷徹でアイロニカルな社会学的態度という自由2017

    • 著者名/発表者名
      天田城介
    • 雑誌名

      『現代思想』(青土社発行)

      巻: 第45号第6巻 ページ: 85-99

  • [雑誌論文] 専門家による家族への介入をめぐる社会学2017

    • 著者名/発表者名
      天田城介
    • 雑誌名

      『家族社会学研究』(日本家族社会学研究発行)

      巻: 第28巻第2号 ページ: 73-77

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] どっちつかずの人たち――〈老い衰えゆくこと〉から社会を見る2016

    • 著者名/発表者名
      天田城介
    • 雑誌名

      『談』(公益財団法人たばこ総合研究センター(TASC)発行)

      巻: No.107 ページ: 61-84

    • オープンアクセス
  • [学会発表] この4半世紀における認知症当事者と家族・介護者とのコミュニケーションと生存の変容2017

    • 著者名/発表者名
      天田城介
    • 学会等名
      東京大学高齢社会創造研究機構主催講演会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2017-02-27 – 2017-02-27
    • 招待講演
  • [学会発表] 専門家による家族への介入をめぐる社会学(討論者発言)2016

    • 著者名/発表者名
      天田城介
    • 学会等名
      日本家族社会学会第26回大会シンポジウム
    • 発表場所
      早稲田大学戸山キャンパス
    • 年月日
      2016-09-11 – 2016-09-11
    • 招待講演
  • [備考] 天田城介ウェブサイト

    • URL

      http://www.josukeamada.com/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi