研究課題/領域番号 |
25380719
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
難波 孝志 大阪経済大学, 情報社会科学部, 教授 (00321018)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 沖縄社会 / 軍用地 / 返還跡地 / 跡地利用 / 沖縄的共同性 / 公共性 / 過剰開発 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度からの懸案事項であった1年目の調査によって得られた知見について、報告書を作成することから着手した。最終的には7月になってしまったが、1冊の「研究成果中間報告書 第1輯」(総ページ数96ページ)として発行することができた。同時に、11月に行われた第87回日本社会学会大会(神戸大学)において、これらの成果を報告することを企画し、本科研費から、「軍用跡地利用と沖縄地域社会」という大テーマのもと、「軍用跡地再開発の計画と現実」「北谷町の基地跡地開発をめぐる期待と困難」「読谷補助飛行場の跡地利用」の3報告を実施することができた。 また、本年度は、1)再開発計画地区権利者意識調査実施(量的調査)、2)意識調査の分析、3)返還跡地再開発計画地区権利者に対する面接調査実施(質的調査)の3つの過程での実施を予定した。1)においては、手を尽くしたが権利者名簿の入手が困難であることがわかり、急きょ調査対象者を軍用地所在市町村の区長に変更し、調査対象に合致する質問紙の設問の検討に入った。そして実施は、平成27年度にずれ込まざるを得なくなった。1)の予定変更によって、2)は未実施であるが、3)についてはより詳細な面接調査を実施することができた。具体的には、調査地点を①北谷町、②読谷村と③北中城村に集中させた。北谷町では、町当局担当課、区画整理組合、旧区画整理組合長などに対して、読谷村では、村当局担当課、農業生産法人、先端農業センター、耕作者、区長などに対して、そして北中城村では、村当局担当課、軍用地主会、郷友会、区長などに重点的に聴き取りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも示した通り、量的調査の実施が大幅に遅れてしまった。調査票の検討は継続的に行われている。 ただ、質的調査の結果については、調査中間時点での報告書作成、学会発表など、精力的な調査結果の公表に注力してきた。予定していたテープおこし、文章化、住民の意識と行動の分析と問題点の析出については、予定以上の速度で推移している。結果的に、質的調査においては、先進的な知見を見いだせていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、いよいよ本科研の最終年度である。まずは平成26年度に実施できなかった量的調査の実施(夏季を予定)に取り組む予定である。そして、3年間に行った調査の補充調査、そして報告書第2輯の作成を予定している。具体的には、以下の3つの段階を考えている。1)再開発関係アクターへの質的調査 補充調査、2)質的・量的分析の統合、3)報告書の作成である。1)では、再開発関係者全般に対しての、さらなる聴き取りを行う。報告書作成にあたって、調査漏れのないように補充調査の予定である。2)では、質的調査結果と量的調査結果の結合を行い、結果の最終的な分析を行う。分析結果は、打ち合わせ(研究会)において、随時報告を実施し、さらなる精緻化を試みる。3)においては、平成27年度は、国際学会での報告を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度実施予定であった再開発計画地区権利者意識調査実施(量的調査)において、手を尽くしたが権利者名簿の入手が困難であることがわかり、実施予定遅延のため、次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度、夏季調査において、調査対象者を変更して実施の予定である。
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