研究期間全体を通じて,研究目的①~③は,次のような成果を得ることができた.①力士たちは「相撲美」という様式美に自己を依拠させることで,アイデンティティを確立していたことが分かった.②現代の力士の「稽古」はトレーニングの意図を中心に展開されており,体脂肪率や栄養管理など筋肉を中心とした西欧的身体へとまなざしが移行していることが分かった.③主に横綱柏戸を例に考察した結果,「アイデンティティ確立への要請」や「剛健であること」が近代的男性性と結びつくことが議論できた. 本研究では,相撲研究が現代社会の諸問題,とりわけ現代の男性が抱える問題にまで展開できることを示したことが,新たな成果としてあげられる.
|