研究課題/領域番号 |
25380726
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
魯 ゼウォン 天理大学, 国際学部, 教授 (30303572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 韓人社会 / コミュニティボード / ローカル社会 / 移民社会 |
研究概要 |
平成25年度の研究課題は、移民社会としてのニューヨーク市の韓人社会と地域社会との関わりを明確にすることであった。研究課題を達成するために、2013年9月に現地調査を実施した。その結果、ニューヨーク市の韓人社会は韓人会中心の移民1世社会から専門的な移民組織中心の移民2世社会へ変化しつつあることという実態を把握することができた。注目すべきことは、移民2世は近隣組織であるコミュニティボードへの参加に積極的であることである。今までコミュニティボードの中心は白人住民であり、新着移民であるアジア系移民は消極的に関わっていた。コミュニティボードについて韓人社会は、①英語能力と経済力を備えた移民者がコミュニティボードに関わっており、②コミュニティボードへの参加を通じて地域政治へのネットワークを広げようとしていることの二つの傾向が指摘できる。コミュニティボードに関わっている韓人委員は、「コミュニティボードに入ると、市の都市計画に関する情報をいち早く知ることができる」と手段的に捉えている。韓人委員は、コミュニティボードの意味を「常に街の変化を監視している」と捉えており、今後韓人社会が地域社会に参加するためには積極的にコミュニティボードに参加すべきであるという意識をもっている。以上を踏まえて、ニューヨーク市における韓人移民社会は、コリアンタウンを中心に展開されているが、コミュニティボードを通じて地域社会へ参加し、徐々に政治力を高めている段階にあるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の調査は、コミュニティボードに関わっている韓人委員の意識や移民経験に注目して移民者の視点からホスト社会への参加の意味を捉えることができた。韓人委員と移民組織の中心人物への聞き取り調査を実施した結果、コミュニティボードを地域政治として捉えていることが分かった。本コミュニティボードの韓国委員やマネージェーへの聞き取り調査の実施を通じて、コミュニティボードに直接関わっている担当者の意識を把握している点で、「研究の目的」における実態の把握を達成することができた。この点からみて、聞き取り調査と資料収集を順調に行っているので、研究調査はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の進展方策は以下の二つの方向を考えている。第1の方向は、コミュニティボードの中国やインドなどアジア系移民委員への聞き取り調査を行うことで、韓人のみならずアジア系移民の意識を把握することである。第2の方向は、初期移民者居住地域と安定した移民者地域に分けて、地域別でコミュニティボードがどのような意味をもつのかを韓人移民と関わって実態を明確にすることである。以上の2つの方向を中心に、今後の調査研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、調査中に人口統計や歴史など資料がみつからず、予定したコピー代を支払う必要なくなったからである。 調査研究において、人口統計や地域社会の歴史などの資料のコピー費用として使用する予定である。
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