研究課題/領域番号 |
25380732
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
太田 美緒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80643270)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護形態の選択 / パネル調査 / 2地区比較調査 / 扶養義務感 / 愛情 |
研究実績の概要 |
今年度は、本研究の目的である介護形態(自宅介護、施設介護)の選択を決定する要因を分析するため、初年度に準備をしていたアンケート調査を実施し、その後インタビュー調査に応じる承諾をしてくれた対象者に対してインタビューを実施、アンケート調査では聞くことのできなかった家族の背景等について、詳細な話を聞いた。具体的には、実の親、義理の親が要介護状態になった時、自宅で介護をするか、施設で介護をするかという介護選択に関連する要因を分析することが目的である。その理由は、介護選択の要因が把握されていない状況では、介護者を適切に支援する政策を導くことが難しいからである。 前回行なった調査(1999年、2000年)では、新興住宅地区と農村地区という異なる性質を持つ2地区に在住する30代の女性を対象に、介護選択の要因分析を行なう悉皆調査を行なった。今回の調査では、前回の結果を踏まえ、パネル調査を実施し、調査時点で44~54歳となり、介護問題がより身近な課題となった対象者の介護選択の要因分析を行なうと同時に、前回調査の分析結果と比較し、その差異を分析することが目的である。 アンケート調査の実施後、インタビュー調査を実施したが、アンケート調査のデータ分析を行なうと同時に、インタビュー調査の結果をまとめる作業を始めている。先ず、学会での発表を念頭にアンケート調査の分析を行なうと同時に論文化の作業も進めている。 対象となった2地区の地域包括や行政の担当の課とは、今回の調査結果を順次報告すると同時に、今後どのような形で公表し、地区や市全体の介護施策に生かしてくべきかを議論をし、協力体制を作っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定目標通り、アンケート調査を問題なく実施し、その後インタビュー調査も実施した。調査実施に関しては予定通りで達成度は100%と言える。ただし、パネル調査で、以前同様のアンケートに回答してくれた人が対象であるとは言え、介護意識に関する個人を対象としたアンケートであること、昨今の個人情報に関する厳しい状況から、調査への回答率は極めて低かった。個人情報保護を守りつつ、できる限りの努力をして回答率を上げたが、正直限界があった。 無理を押して回収率を上げるわけにも行かず、節度のあるところで線引きをして、分析を始めている。以上の理由により、前回調査の対象者数が少ない上での回収率の低さという厳しい状況であるため、分析にも制約がある。この点に関しては、達成度は低くなるのはやむを得ないが、インタビュー調査より得られた貴重な情報もあるので、アンケート調査、インタビュー調査の双方より得られた貴重なデータを真摯に分析し、結果を出したい。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査、インタビュー調査共にさらなる分析作業を進める。それぞれの結果を出すと共に、両調査で得られた所件を補い合ってミックスメソードの良さを生かした分析の取り組みをしたい。 その結果を学会で報告すると共に国内、海外のジャーナルに投稿し、報告すると同時に問題提起など今後の介護施策に関わる材料を提供する。 また、対象地区や行政に対しても、さらに話し合いを進め、少しでも対象地区や市全体の介護施策に生かせるよう方策を考えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、インタビュー調査の音声データの反訳委託をするべく計上していたが、実際にインタビュー調査をしていく中で、一人一人インタビューを終える度に反訳委託をするのではなく、ひととおり全員のインタビューを終えて、全体の様子を把握した時点で反訳委託をする方がよいと判断した。 インタビュー調査が終了したのが次年度の直前だったために、次年度に送ることにした。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のように、インタビュー調査の音声データの反訳委託をする予定である。ただし、個人情報を厳守する形の反訳は予定した以上に金額がかかるため、熟慮して使用方法を考える。
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