本年度は、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス市におけるホームレス問題の現状を、市のホームレス対策および住宅政策の関連から明らかにすべく情報収集を進めた。近年の住宅市場の高騰により、2016年には路上生活者が前年比30%増の地域も現れている。また、地下鉄の整備により路上生活者の移動が活発になり、主要観光地が景観や治安の面から対策を迫られている現状もあり、先の市長選時に行われた、ホームレス対策のための消費税引上げ条例案が成立している。経済規模が世界第3位とも言われる大都市のロサンゼルス市は、しかしながらホームレスをはじめとした貧困層への医療福祉関連社会資源が十分に整備機能していない現実もある。現在は、社会保障制度が再度揺らぎ始めた大国の大都市におけるホームレスの現状と政策を含む社会資源の有り様について、報告論文の執筆中である。
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