本研究は、児童自立支援施設在籍児童のニーズに応じた処遇の保障という喫緊の現代的課題の原形を解明する研究の一環である。具体的には、感化教育において障害児問題が顕在化した、国立武蔵野学院設立から少年教護法制定時(1918-1933)における感化院長会議録や、児童自立支援施設所蔵資料等を分析の対象とし、①感化法の対象規定とは別に定められた入院基準の具体例、②家庭委託の形式をとる入院経路が最も多く、劣悪な家庭環境・義務教育未修了者や軽度知的障害の者の割合が高かったこと、③入院可否決定のための児童鑑別所の設置や障害児学校設置など障害児のための分類処遇が感化法改正の論点に含まれていたこと、などを解明した。
|