研究課題/領域番号 |
25380739
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
長井 偉訓 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50237492)
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研究分担者 |
浅井 亮子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(共同研究員) (40461743)
折戸 洋子 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (70409423)
鈴木 静 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (80335885)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイナンバー / 社会保障 |
研究概要 |
本年度においては,個人番号・マイナンバー制度に関するそれぞれの問題意識に基づき、多面的な角度から研究を行った。主に浅井、折戸がスウェーデンの番号制度と日本のマイナンバー制度についてそれぞれの制度的特徴とその国ごとの社会的背景、さらにはそのリスクについて調査・研究を行い、鈴木が医療・福祉の観点から、主に基礎自治体内における災害時の高齢者等要援護者名簿の作成、および運用実態を通じて、わが国における個人情報の取り扱いと民間を中心とした機関連携のあり方について現状と今後の課題をまとめた。 研究代表者長井は、雇用システム、社会保障という観点から研究を行った。今や格差社会となった日本社会の中で、格差を是正し、全ての国民が安心して暮らしていくためには、公正な所得再分配を通じて、負担と給付との適切な関係を再構築することが不可欠となっている。とくに社会保障にとって重要なことは「給付」が本当に必要な人に届き、それを支えるための税や社会保険料が公正に分担され、しかもそれが有効に活用されることにより、国民が安心して暮らしていけるかどうか、「セーフティネットの再構築」が求められている。そこで、長井が格差拡大の背景となっている日本的雇用システムの縮小に伴う「男性稼ぎ手モデル(1960年代モデル)」と「皆保険体制(1970年代モデル)の揺らぎ」を明らかにし、セーフティネット再構築のための公平で公正な税と社会保障の一体改革を行う上で、マイナンバー制度が果たす社会的有効性について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては、番号制度に関する社会的背景や、国別の差異など、多面的な方向から理論的基盤を固めるための調査および研究を遂行することができ、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各自の問題意識を共有しながら、より具体的にスウェーデンを中心とした北欧の番号制度の実態調査や、日本でのマイナンバー制度の運用計画などについて調査を進めていくこととする。特に、スウェーデンや北欧での実態調査を実施することで、その制度が社会にどのように受け入れられ、機能しているのかを把握し、その背景となる社会文化的要素や制度的特性について考察を深めることを目的としたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
出張予定の変更により、旅費の執行がおこなわれなかった。また、必要とする物品の在庫がなかったため、年度内に入手することができなかった。 今年度、調査および研究会開催のために、海外出張旅費を支出予定である。また、必要に応じてデータ集計用のコンピュータの購入と謝金の支出を行う。
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