研究課題/領域番号 |
25380740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高野 和良 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (20275431)
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研究分担者 |
山本 努 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (60174801)
加来 和典 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (80214261)
山下 亜紀子 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (40442438)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 過疎地域 / 市町村合併 / 地域福祉 / 社会参加活動 / 高齢化 / 人口減少 |
研究概要 |
本研究は、市町村合併後の西日本の過疎地域において、地域組織・集団による地域福祉活動継続のために必要な地域福祉圏域の再編成のあり方について明らかにすることを目的としている。そのために、各種の地域組織・集団が集積している圏域を調査対象地域とし、地域福祉活動を支える地域組織・集団が基礎を置く圏域が弱体化している実態を把握したうえで、人口・世帯減少率、世帯類型、高齢化率などの人口構造的要因と、地域集団・組織の活動度との組み合わせによる類型化を行い、それぞれの圏域における市町村合併後の地域福祉活動との関係を質的・量的社会調査によって明らかにすることが3年間の研究計画となる。 さらに、これらを通じて、過疎地域における地域組織・集団による地域福祉活動の継続条件と、地域福祉活動にとって適正な空間的・地理的な範域を、合併後の地域福祉圏域とするための設定基準を明らかにし、過疎地域の住民、とりわけ高齢者の生活支援のための方策の提示を目指している。 平成25年度は研究代表者と研究分担者、研究協力者が共同で、先行研究等の検討と、平成26年度に量的、質的社会調査を実施する調査対象予定地域の選定を行うことを研究計画としていた。このうち、調査対象地域の選定については、九州、中国地方の市町村合併が進行した過疎地域から候補地域を選び、比較検討をおこなったうえで、現時点では編入合併を行った大分県日田市圏域を調査対象地域候補としている。また、実査の準備作業として大分県日田市中津江村、山口県内の過疎地域などで実施してきた社会調査の二次分析を行い、研究会(全体研究会を2014年3月14日実施)等で検討を行った。得られた知見は、研究メンバーで共有し、一部の成果を論文等で公表する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、市町村合併後の西日本過疎地域において、地域組織・集団による地域福祉活動継続のために必要な地域福祉圏域の再編成のあり方について明らかにすることを目的としている。そのうえで、過疎地域における高齢者の生活支援のために必要な地域福祉活動の継続条件の提示も視野に入れている。 3年間の研究計画のなかで、初年度は先行研究の検討などを通じて市町村合併の現状を把握し、調査対象予定地域を選考することとしていた。研究分担者、研究協力者とともに、人口減少率が高く、また、世帯も極小化していること、市町村合併によって地域集団に変容がもたらされていること、また、合併方式による影響の相違も考慮して対等合併方式ではなく、より周辺地域に影響の大きい編入合併方式であることなども条件に加味しつつ、調査対象地域選定の検討を行った。その結果として、一定の先行研究の蓄積も認められる大分県日田市圏域を調査対象とすることが適当であるとの結論を得た。 また、先行研究、これまで代表者、分担者が実施してきた社会調査結果の再分析なども実施した。また、それらの成果をもとに平成26年度中に学会報告や論文等で公表する葉取り組んでいる。 以上のことから、ほぼ順調に研究が進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、前年度に決定した調査対象地域において量的・質的調査を実施し分析を行う。まず、市町村合併の影響による生活変容と課題を把握するための調査票を研究分担者と十分に協議を行ったうえで作成し、社会調査を実施し、基礎的な集計を行うこととする。 また、地域組織・集団の代表者、地方自治体関係者に対して聞き取り調査も行う予定である。その際、研究代表者、研究分担者の十分な指示のもとに調査員による聞き取り調査も実施する。また、比較のために周辺地域での聞き取り等も実施し、知見については研究メンバー内で共有する。 これらを確実に実現するために、全体研究会を開催し、また代表者、分担者間の連絡を適切に行うこととする。 なお、本研究で予定している調査対象フィールドは、これまでの研究活動を通じて現地関係者(地域組織・集団関係者、行政関係者など)との関係形成が図られており、本研究の調査目的等についての理解と調査協力は得られるものと考えている。しかし、何らかの事情で、予定している調査対象フィールドの協力等が得られない場合も起こり得る。このように研究が当初の計画通りに進まない場合には、研究分担者とも緊密に調整しながら、調査対象フィールド候補を変更することなどによって、確実に調査が行えるように対処する。
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次年度の研究費の使用計画 |
全体研究会等に複数の研究協力者の参加を予定していたが、1人のみの参加となったため差額が生じたが、年度末が近かったため残額を執行せず、次年度使用とした。 平成26年度は社会調査を実施を予定しているが、事前、事後調査などを複数回行うこととし、そのための旅費として使用する。
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