研究課題/領域番号 |
25380748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松田 博幸 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30288500)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 職員研修 / 当事者活動 |
研究概要 |
本研究は、精神保健福祉サービス提供組織をリカバリー志向のものに変えるための利用者主導型の職員研修プログラムの開発を目指すものである。平成25年度においては、①サービス提供システムをリカバリー志向のものに変えるために必要な、援助専門職者と精神障害当事者との関係を明らかにするための情報収集、②当事者主導で運営されているサービス提供組織における職員養成の実態と課題を明らかにするための情報収集と分析を実施した。①の具体的な内容としては、援助専門職者が精神障害当事者と対等で人間的な対話をおこなうための条件を明らかにするために、フィンランドの西ラップランドにおいて展開されているオープン・ダイアログの実践に関する文献や映像資料の収集と分析をおこなった。また、同実践を取り上げたドキュメンタリー映画の上映会を開催し、アンケートを通して、精神障害当事者との対等で人間的な対話に対する援助専門職者の意識を把握した。収集した情報の分析を通して、そのような対話が当事者のリカバリーをうながし、援助専門職者の実践を豊かなものにすることが見えてきた。②の具体的な内容としては、北海道の札幌市において精神障害当事者によって運営されているNPO法人「すみれ会」を、精神障害をもち当事者活動をおこなっている研究協力者とともに訪問し、職員からのインタビューや資料収集を通して、「すみれ会」における職員養成の実態と課題を明らかにするための情報を収集した。収集された情報の分析を通して、当事者同士の相互援助や援助専門職者に対するクリティカルな視点を通して自律的な職員が育てられていることが見えてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精神保健福祉サービス提供組織をリカバリー志向のものに変えるための利用者主導型の職員研修プログラムを構築する際に必要となる基本的な原理を明らかにすることが平成25年度の研究の目的であった。まず、援助専門職者と精神障害当事者との対等で人間的な対話がポイントとなることを明らかにできた。また、当事者運営の組織において、当事者同士の相互援助や援助専門職者に対するクリティカルな視点を通した職員の養成がおこなわれていることがわかったことで、組織運営において利用者主導の実践を導入することの意義を明確にすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究において明らかになった、利用者主導型の職員研修プログラムを構築するための原理をもとに、精神障害当事者とともに、プログラムのモデルを作成することを目指す。研修プログラムの具体的な内容を明らかにする。また、海外における実践例の情報収集も実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外における調査を予定していたが国内における調査に変更したため。 平成26年度の助成金と合わせて、海外における調査を実施する。
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